大手芸能プロダクションのアミューズ<4301>は2020年2月13日に、2020年3月期の業績予想を上方修正した。上方修正は2019年8月14日に次ぐ2回目。 

1回目はサザンオールスターズをはじめとする上期のイベントが好調だったことが、2回目は福山雅治をはじめとする下期のイベントが好調なのが要因。これに利益率の高い商品の販売やCM収入なども加わり、大幅な増収増益となった。 

内閣府が2月17日に発表した2019年10-12月期の実質国内総生産(GDP)が、前期比マイナス1.6%、年率ではマイナス6.3%となったほか、多くの企業が米中貿易摩擦や新型コロナウイルスなどの影響で業績予想を下方修正するなど景気悪化懸念が広がっているものの、今のところ芸能にはこうした不況風の影響は及んでいないようだ。 

コンサートとグッズ販売が屋台骨 

アミューズは2020年3月期の売上高を当初予想比21.4%増の610億円に、営業利益を同88.6%増の68億1000万円に、経常利益を同83.0%増の69億円に、当期純利益を同86.0%増の42億4000万円にそれぞれ引き上げた。 

前年度との比較では売上高は10.6%の増収、営業利益は52.0%、経常利益は49.6%の大幅増益となる。当期純利益は前年度に固定資産売却益(約17億円)があったため、4.6%の減益となる見込みだが、2018年3月期と比べると2倍以上の高い水準にある。 

2020年3月期第3四半期の状況を見ると、コンサートやミュージカルの運営、コンサートグッズの販売などを手がけるアーティストマネージメント事業が、前年同期比19.4%の増収、同約2.1倍のセグメント増益となったのが全体を押し上げた。 

映画などのDVD販売や番組制作などのメディアビジュアル事業と、旧譜楽曲の販売などを手がけるコンテンツ事業は減収減益で、グッズ販売や施設管理などのプレイスマネージメント事業も増収となったもののセグメント損益は赤字だった。 

コンサートなどのイベント収入とコンサートグッズなどの商品売上収入が屋台骨となっていることが分かる。

【アミューズの2020年3月期の業績予想】※単位は億円

  当初予想 第1四半期時予想 第3四半期時予想
売上高 502.6 535 610
営業利益 36.1 43.4 68.1
経常利益 37.7 43.5 69
当期純利益 22.8 26.4 42.4

M&Aで事業を多角化

アミューズでは、こうした状況の改善につながるM&Aを活発化させている。2019年12月にコンサートや舞台などの映像を映画館などに配信する事業を手がけるライブ・ビューイング・ジャパン(東京都渋谷区)を子会社化したほか、同じ12月には日本と米国で主にスポーツ選手のエージェント事業を展開する米国のオータス ボー ホールディングスを子会社化した。 

さらに2020年1月にはアーティストグッズなどの生産を手がける子会社(持ち株比率60%)の希船工房(東京都渋谷区)を完全子会社化し、アーティストグッズだけでなくノベルティやアパレフブランドのODM(相手先ブランドによる設計・製造)などを積極化し新たな事業展開を目指している。 

新型コロナウイルスの影響でコンサートやマラソン大会、大勢の人が集まるイベントなどが中止や規模縮小に追い込まれており、今後は同社も他人ごとでは済まされなくなる状況も考えられる。

文:M&A Online編集部