イオン系コンビニエンスストア・ミニストップ<9946>が3期連続の最終赤字に陥ることになった。売上高は2期連続の減収、営業損益も2期連続の赤字、経常損益はこの10年間で初の赤字といった厳しい状況だ。
店内加工のファストフードやコールドスイーツが不振だったことに加え、韓国や中国で売り上げが大きく落ち込んだのが業績の足を引っ張った。
コンビニ業界は顧客の獲得競争が激化しているのに加え、人手不足や人件費上昇などの悪要因が重なり、厳しい経営状況にある。
そんな中、ミニストップでは「来期(2021年2月期)の業績は回復する」と強気の見通しを持つ。果たして思惑通り復活することができるだろうか。
国内既存店に回復の兆し
ミニストップは2020年2月18日に2020年2月期の業績予想を下方修正した。売上高は当初予想の2010億円から60億円少ない1950億円に引き下げ、営業損益は14億円の黒字から32億円の赤字に、経常損益は23億円の黒字から23億円の赤字に転落する。当期損益については繰延税金資産約24億円を取り崩すこともあり、5000万円の黒字から59億円の大幅赤字となる。
国内の店舗で低価格戦略を進め、店内加工ファストフードや米飯デリカの拡販に取り組んだものの、売上目標を達成することができなかった。海外でも日韓関係悪化の影響などもあり、韓国ミニストップの売り上げが2019年7月以降大きく落ち込んだほか、中国の青島ミニストップも売り上げ不振が続いた。こうした状況を期中に挽回することは困難と判断し、下方修正に踏み切った。
ただ国内既存店の売上高推移を見ると、第3四半期(2019年9月-11月)は計画を4.6ポイント上回り、12月(計画比1.3ポイント増)、1月(同1.6ポイント増)も計画を超える水準で推移している。
第3四半期以降に業績が回復したのは7月に「おにぎりいつでも100円」を投入したことや、下期に店内加工ファストフードの有力商品を投入したためで、国内既存店の売り上げに回復の兆しが表れているといってもよさそうだ。
ミニストップは今後、物流改革や本社のスリム化などの構造改革に取り組む計画だ。こうした構造改革によるコスト削減効果に、既存店の売り上げ回復が加わることになれば「来期の業績は回復する」とした強気の見通しもうなづける。
【ミニストップの業績推移】※単位:億円、2020年2月期は見込み
2016年2月期 | 2017年2月期 | 2018年2月期 | 2019年2月期 | 2020年2月期 | |
売上高 | 2135.28 | 1969.55 | 2069.64 | 2053.04 | 1950 |
営業損益 | 25.97 | 12.41 | 0.1 | -5.51 | -32 |
経常損益 | 36.53 | 22.84 | 11.92 | 7.48 | -23 |
当期損益 | 9.68 | 2.15 | -9.55 | -9.16 | -59 |
韓国やベトナムの企業を子会社化
ミニストップは1980年にジャスコ(現イオン)が出資し設立した企業で、2020年1月末時点の店舗数は国内1999店、海外3341店の合計5340店。
2003年に大象流通(現:韓国ミニストップ)を子会社化したのを皮切りに、2004年にジェイアール四国エムエスネットワークを子会社化、2008年にエムエス九州を完全子会社化した。
さらに2015年にはベトナムでの事業拡大を目的に、ベトナムのコンサルティング会社VINH KHANH CONSULTANCY CORPORATIONを子会社化した実績がある。
年 | ミニストップの沿革 |
---|---|
1980 | ジャスコ(現イオン) 100%出資により、ミニストップを設立 |
1993 | 東京証券取引所市場第二部に株式上場 |
1996 | 東京証券取引所市場第一部に株式上場 |
2003 | 大象流通(現:韓国ミニストップ)を子会社化 |
2004 | ジェイアール四国エムエスネットワークを子会社化 |
2008 | エムエス九州を完全子会社化 |
2015 | ベトナムの経営コンサルティングVINH KHANH CONSULTANCY CORPORATIONを子会社化 |
文:M&A Online編集部