【5月M&Aサマリー】68件、4カ月ぶりに前年下回る|青森・福井で地銀再編が具体化

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ENEOSホールディングス(東京・大手町の本社)…JSRからエラストマー事業を1000億円超で買収する

青森、福井で地銀再編が具体化

動きが目立ったのは地方銀行だ。マイナス金利の長期化や競争激化による貸出金利の低下で苦戦しているところに、新型コロナ禍で取引先の業績悪化や倒産が重なり、地銀は厳しい経営環境に置かれている。

青森銀行、みちのく銀行は2022年4月に経営統合することで合意した。共同持ち株会社を設立し、傘下に両行を置く。統合効果を最大化するため、2年後の2024年4月をめどに両行を合併させる。また、福井銀行は福邦銀行(福井市)を10月に子会社化する。福邦銀が行う第三者割当増資を50億円で引き受け、およそ52%の株式を取得する。

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大型MBO(経営陣による買収)も相次いだ。新薬開発支援などを手がけるEPSホールディングスは625億円、テレビCM制作最大手のAOI TYO Holdingsは213億円で、それぞれ株式を非公開化する。短期的な業績や株価に左右されず、中期的な視点で経営を進められる体制を構築するのが狙い。EPSの案件はMBOとして今年最大の規模となる。

EPSについては創業者で現会長の厳浩氏の主導によるTOB(株式公開買い付け)成立後、医薬品卸大手のスズケンが20%を新設会社を通じて間接出資する予定で、EPSはスズケンの持ち分法適用関連会社となる。一方、AOI TYOでは経営陣が米投資ファンドのカーライル・グループと組んでTOBを行う。

「株式交付」活用が出始める

3月に施行された改正会社法でM&Aの新たな手法として導入された「株式交付」の活用例も出始めた。Eストアーはシステム開発のアーヴァイン・システムズ(東京都品川区)の株式50.17%、GMOインターネットは飲食店予約管理サービスのOMAKASE(東京都港区)の株式61.5%をそれぞれ株式交付の手続きで取得することにした。

自社株を対価とする場合、これまでは完全子会社化(所有割合100%)を目的とする株式交換に限られていたが、株式交付を使えば、株式取得が50%超~100%未満の範囲で子会社化できる。

◎5月M&A:金額上位案件(10億円以上)

1 ENEOSホールディングス JSRからタイヤ素材のエラストマー事業を取得 約1150億円
2 EPSホールディングス MBOで株式を非公開化 625億円
3 GMOフィナンシャルホールディングス Zホールディングス傘下でFX事業のワイジェイFX(東京都千代田区)を子会社化 289億円
4 AOI TYO Holdings 米カーライル・グループと共同でMBOで株式を非公開化 213億円
5 ユーグレナ 健康食品・化粧品製造のキューサイ(福岡市)を子会社化 89.4億円
6 PKSHA Technology オウケイウェイヴから法人向けFAQサービスなどのソリューション事業を取得 73.1億円
7 PKSHA Technology ソフト開発のアシリレラ(東京都渋谷区)を子会社化 50億円
8 福井銀行 福邦銀行(福井市)を子会社化 50億円
9 プロトコーポレーション 広告関連子会社のプロトメディカルケア(東京都千代田区)をベネッセホールディングスに譲渡 42.5億円
10 ファミリー MBOで株式を非公開化 42億円
11 東テク 大崎電気工業傘下でビルオートメーション事業のシンガポール
Quantum  Automationを子会社化
40.5億円
12 信越ポリマー 昭和電工マテリアルズから食品包装ラッピングフィルム事業を取得 36.6億円
13 中部飼料 配合飼料製造子会社のみらい飼料(名古屋市)が保有する3工場を伊藤忠飼料(東京都江東区)に譲渡 22億円
14 ワタベウェディング 再生ADR成立し、医薬品開発などを手がける興和(名古屋市)の傘下入り 20億円
15 ソフトバンク インターネット広告のイーエムネットジャパンをTOBで子会社化 17.8億円
16 ブイキューブ ウェビナー関連のシステム開発・配信を手がける米Xyvidを子会社化 16.5億円
17 デジタルハーツホールディングス IT人材登録プラットフォーム事業を手がけるアイデンティティー(東京都新宿区)を子会社化 16.1億円
18 インテージホールディングス インターネット市場調査のリサーチ・アンド・イノベーション(東京都港区)を子会社化 11.2億円

文:M&A Online編集部

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2021/05/10

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