新型コロナの世界的拡大を受けて、日本企業による海外M&Aが冷え込んでいる。7月前半(1~15日)の海外M&Aは適時開示ベースでキユーピー、太陽ホールディングスなどによる4件で、このままのペースでは6月の9件に続き、7月も月間1ケタの低水準にとどまる可能性が高い。海外M&Aが2カ月連続で1ケタとなれば、2013年以来7年ぶりだ。

一方、国内企業間のM&A件数は底堅く推移し、“国内回帰”の様相を呈している。

2カ月連続で1ケタなら、2013年以来7年ぶり

2020年上期(1~6月)のM&A件数は前年同期を11件上回る406件。4年連続で増加し、上期として2009年(439件)以来11年ぶりの高水準となった。ただ、このうち海外案件は計68件と前年同期(86件)を20件近く下回り、単月で6月は9件と2018年6月以来2年ぶりに月間1ケタとなった。

適時開示情報をもとに、経営権が異動するM&A(グループ内再編を除く)をM&A Online編集部が集計した。

下期がスタートした7月のM&A件数は15日時点で31件。月末にかけて件数が伸びる傾向があるものの、総件数が前年7月の67件(うち海外は11件)に届くかどうかは微妙で、なかでも海外案件はここまで4件と勢いを欠いたままだ。

4件の海外案件の内訳は売却2件、買収2件。キユーピーは傘下の鶏卵加工品・乾燥肉メーカー、米へニングセン・フーズ(ネブラスカ州)の全株式を現地食品大手に7月1日付で売却した。へニングセンはキユーピーが1990年に子会社化したが、近年、業績が低迷していた。山王は貴金属表面加工を手がける中国子会社の山王電子(江蘇省無錫市)を現地企業に譲渡することを決めた。

太陽ホールディングスは米サーキット・オートメーション(カリフォルニア州)からプリント配線板製造に関するサービス事業を、ダントーホールディングスは米住宅金融会社SRE Mortgage(カリフォルニア州)をそれぞれ買収した。ダントーは主力の建設用タイル事業の不振に伴い、不動産関連事業を新たな収益源に育てる方針を打ち出しており、今回、14億6000万円を投じた。

コロナで海外案件の停滞長期化が必至か

新型コロナ感染が世界的に拡大する中、国境をまたぐ海外M&Aは手控えムードが一斉に広がっており、日本企業も例外ではない。6月に次いで7月も月間の海外M&Aの開示件数が1ケタにとどまれば、2013年5月(8件)~6月(5件)以来7年ぶりだ。実は2013年は1月(9件)〜2月(8件)も1ケタが続いた。

この2013年といえば、政権交代により、長期デフレと景気低迷からの脱却を目指して安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が始動した年。コロナ禍の収束が見通せず、往来もままならない中、海外M&Aの停滞は長期化する公算が大きい。

文:M&A Online編集部