2020年1~6月(上期)の企業別のM&A件数(グループ内再編を除く)を適時開示情報に基づき集計したところ、三井グループの2社が5件でトップに並んだ。その2社とは三井松島ホールディングス(HD)と三井E&Sホールディングス(旧三井造船)。なかでも経営再建中の三井E&S HDは5件すべてで子会社・事業の売り手に回った。

2位は4件を手がけた合板・建材商社のJKホールディングスと光学機器メーカーのテクノホライゾン・ホールディングス。3件だと、ネットによる中古品買取・販売のマーケットエンタープライズ、ゲーム・Web関連人材サービスのクリーク・アンド・リバー社など8社あった。

三井E&S HD、売り一色

1~6月のM&A件数は前年同期比11件増の406件だった。4年連続で増加し、1~6月として2009年(439件)以来の11年ぶりの高水準となった。新型コロナウイルス感染拡大の逆風にもかかわらず、件数を伸ばした。

ただ、取引金額は1兆4671億円と前年同期に比べ32%減った。海外案件を中心とする大型M&Aがしぼんだのが主因で、コロナ禍の世界的拡大の中、国内回帰と案件の小型化が顕著となった。

M&A件数トップの三井E&S HDはインドネシアでの火力発電所工事の巨額損失で経営の屋台骨が揺らいでいる。2019年3月期に695億円、20年3月期には862億円の最終赤字を2年連続で計上した。このため、経営立て直しに向けて資産の切り売りに迫られ、1~6月に公表した5件すべてが売却案件(表参照)という異例の事態となった。

同社は構造改革の第一弾として昨年12月、プラント設計・建設の子会社三井E&SプラントエンジニアリングをJFEエンジニアリングに売却を発表しており、これを加えれば、半年余りで6件のハイペースだ。

昭和飛行機を455億円で売却

売却金額で最大となったのは昭和飛行機工業の案件(1月公表)で、約455億円にのぼった。三井E&S HDは約66%を所有する昭和飛行機の全株式について、米投資ファンドのベインキャピタルが実施するTOB株式公開買い付け)に応じた。

昭和飛行機は1937年に航空機製造を目的に発足。現在はギャレー(機内調理設備)、コンテナといった航空機機装品、特殊車両(タンクローリーなど)、ハニカムパネルなどの製造を主力とする。三井E&S HDは2014年、同社にTOBを行い、連結子会社化した経緯がある。

昭和飛行機工業(2020年1月に撮影、東京都昭島市の本社)

◎1~6月:三井E&S HDが発表したM&A

発表内容
6月 三井造船E&Sが手がける艦艇事業を三菱重工業に売却する方向で協議入り
5月 橋梁・沿岸事業の三井E&S鉄構エンジニアリングを三井住友建設に売却
4月 バイオマス発電子会社の市原グリーン電力(千葉県市原市)をタケエイに売却
2月 大分事業所の太陽光発電事業(持ち分51%)を売却。売却先は非公表
1月 子会社の昭和飛行機工業(東証2)を米ベインキャピタルのTOBに応じて売却