近江商人「三方よし」の精神を持つ総合商社

 日本有数の総合商社である伊藤忠商事<8001>。滋賀県豊郷町を発祥とする近江商人をルーツとした総合商社である。

 同社においては早くから「非資源」を掲げ、資源関連に頼らず事業ドメインを拡充してきた戦略が功を奏し、大手商社が資源価格の下落などを受け軒並み業績悪化に陥る中、順調に利益計上、2016年3月期、国内の商社で三菱商事、三井物産を抑え最終利益で業界No.1の地位を獲得するに至った。今回は財閥系商社に打ち勝ち国内ナンバーワン商社となった伊藤忠商事の戦略に迫る。

「非資源」戦略は「ルーツの違い」から

 三菱商事、三井物産が資源関連に傾注する中、伊藤忠商事が消費生活関連事業いわゆる「非資源」のシェアを高めてきたのには理由がある。財閥系の商社が国策に準じたビジネスに取り組んできたのに対し、非財閥系である伊藤忠商事は「繊維ビジネス」が発祥である。伊藤忠商事は商社の中でも「近江商人」として消費者ニーズに合わせたビジネスに取り組んできた経緯がある。

 現在の社長である岡藤正広氏は同社のルーツを重んじ、昨今において消費生活関連企業の資本提携を多数行い、ラインナップを充実してきた。多くの事業ドメインを有することで事業シナジーも創出し、財閥系商社との差別化戦略を図ってきた中、16年3月期で三菱商事は1493億円の赤字、三井物産は834億円の赤字計上に対し、伊藤忠商事は2403億円の黒字計上となった。

 資源価格の明暗が勝敗を分けた形となったが、これは伊藤忠商事の資源事業の見切りが迅速であったことに起因する。米シェールガス事業やコロンビアの石炭事業からいち早く撤退、非資源事業へ注力した。事業ポートフォリオ戦略を大胆かつ迅速に実践した岡藤正広社長の采配のたまものといえよう。

【伊藤忠商事の非資源事業収益

(転載:伊藤忠商事HP、2015年決算説明資料 非資源・資源利益より)

伊藤忠商事の非資源事業】

(転載:伊藤忠商事HPより)