ベネッセホールディングス<9783>は「国内教育」「生活」「シニア・介護・保育」「語学・グローバル人材教育」「その他」と大きく分けて5部門、41の子会社および5社の関連会社(2015年3月時点)からなる企業グループだ。基幹事業は「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」など国内の教育部門で、売り上げの半分以上を占める。

 1955年に福武書店として創業、69年には進研ゼミの前身となる高校生向けの通信教育講座を開始、72年に中学生向け、80年に小学生向け、88年には幼児向けと成長を遂げ、通信教育講座では不動の地位を築いてきた。

主力事業の不祥事

 00年から12年頃までは、ベネッセの主力事業であった「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」などの通信講座は国内会員数400万人前後を行き来し、会員数は頭打ちとなっていく。少子化の影響もあるだろうが、塾などの開設に伴う教育市場の競争激化が大きな要因であろう。とはいえ通信教育部門において、規模では不動の地位を築いてきた同社であるが、14年7月のベネッセ個人情報流出事件の影響で大きな打撃を受け、翌15年4月には会員数271万人、16年4月には243万人と減少に歯止めがかかっていない状況になっている。

 さらに16年5月の決算発表においては、14年6月にベネッセの会長兼社長に就任した原田泳幸氏が退任することを発表。15年10月に示された「2016-2020年度 中期経営計画」の実現を、代表取締役副社長の福原賢一氏に託す形となった。

事業の多角化

 ベネッセが事業の多角化を図ったのは90年代に入ってから。当時、ベネッセの前身である福武書店は上場もしていない地方の企業だったが、93年にニューヨーク市場に上場する世界最大の語学学校、ベルリッツインターナショナルの買収で語学事業への進出を行った。同93年に妊娠・出産に関する情報を提供する雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」を創刊し、生活関連事業への進出を果たす。また00年には、介護事業を運営するベネッセケアを設立し介護関連事業へも進出、02年には関西で学習塾を展開するアップに出資して学習塾事業へも進出した。また、10年に譲渡しているが、05年には産業支援機構よりパソコンスクール運営の最大手アビバジャパンの営業権を一部譲り受けて、事業の多角化を推し進めてきた。

 潤沢な資金を元手にし、ここ10年程度でM&Aに特に力を入れてきたのが、予備校や個別指導塾などの買収である。02年にアップに出資したことを皮切りに、06年6月には、首都圏を中心に個別指導塾を展開する「東京個別指導学院」の株式51.89%を127億円で買収、同10月には現役高校生向けの進学塾のお茶の水ゼミナールを約3億円にて買収、07年10月には明光ネットワークの株式を一部取得、09年には難関大学受験指導塾の「鉄緑会」事業を取得、14年11月には子供向け英語教室の運営を行うミネルヴァインテリジェンスを買収と、通信教育に代わる事業への投資を行ってきた。

 さらに15年10月末に発表した中期経営計画では、少子化を見越して5年間で2000億円という過去最大規模の投資枠を設け、今後の成長を見込める分野へ積極的に投資を実施することを明言している。

 一方で、既存の事業の進研ゼミにも改良を加えた。16年4月からサービスが開始になった「進研ゼミプラス」は、紙とタブレット端末を用いるものであり、地方学習塾と提携し、既存のビジネスに広がりを持たせようとしている。