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【三井物産】「利益積み上げ型」事業の拡大に向けてインフラ関連へ出資

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※画像はイメージです

日本最初の総合商社に

 1876年に日本最初の総合商社として、旧三井物産が誕生した。当時は石炭の輸出や紡績機械の輸入などを行っていた。また中国やインドなどから綿花を輸入し、紡績産業の立役者となった。

 戦後、1947年には財閥解体により、旧三井物産が解散、現在の三井物産<8031>の前身である第一物産が設立された。60年代から70年代には高度経済成長のけん引力として、海外依存度の高い日本への重要資源の安定確保のため、資源開発に出資参画した。

1963年1月 豪Moura炭鉱(現Dawson炭鉱)開発への参画
65年2月 豪Robe River鉄鉱山への参画
66年10月 豪Mount Newman鉄鉱石長期契約の締結
71年9月 アラブ首長国連邦・アブダビのダス島LNG(液化天然ガス)開発基本協定調印
71年10月 イラン石油化学プロジェクト基本協定調印

 一方、80年代から90年代にかけては、時代の先端分野への挑戦と急速な社会の構造変化に対応すべく、半導体などの高付加価値分野に進出。また海外においても大型プロジェクトに参画してきた。

85年7月 豪西部のLNGプロジェクト参画
94年6月 サハリンII石油・天然ガス開発契約調印

 2000年代に入ると「グローバル総合力企業」を目指し、新規投資の実行と既存投資のリサイクルを通じた戦略的ポートフォリオの構築を始める。

2003年9月 ブラジルの総合資源会社Vale S.A.の持ち株会社Valepar S.A.へ出資
07年6月 米国鋼材加工サービスセンターSteel Technologies Inc.を買収

 現在は20年までの中期経営計画として、「攻め筋」の確立、「既存事業」の収益基盤強化と「パイプライン案件」の完遂、裏打ちのある「新規事業」への投資と「株式還元」の両立を目指してきた。

16年3月期は上場以来初の赤字

 三井物産の投資セグメントは鉄鋼製品、金属資源、機械・インフラ、化学品、エネルギー、生活産業、次世代・機能推進の7事業に分けることができる。16年3月期のセグメントごとの当期利益は金属資源(63億円)、金属資源(-1625億円)、機械・インフラ(183億円)、化学品(177億円)、エネルギー(-39億円)、生活産業(-140億円)、次世代・機能推進(161億円)となる。当期損益は834億円の損失となり、発足以来初の赤字転落となった。これは中国景気の減少に伴う資源安の影響が大きく、特に金属資源分野に力を入れてきた三井物産はこの影響を大きく受け、3500億円の減損処理をすることとなった。

 多くの商社も石油やLNGなどのエネルギー資源、鉄鉱石などの金属資源の開発事業に参画したため、11年以降の資源価格の下落とともに事業の撤退や評価損の計上に踏み切っている。三井物産は今回の市況下においても着実にキャッシュを生み出している事業と認識するとともに、今回のような短期的なサイクルに左右されることなくポートフォリオのさらなる強化行うとのこと。資源開発は、開発着手から生産・販売までを含め、20~30年の長期にわたる事業であるためとの認識のようだ。

 今後は、同社が強みと認識する「利益積み上げ型」事業の拡大に注力する戦略だ。キーワードとして、ハイドロカーボンチェーン、モビリティ、インフラ、メディカル・ヘルスケアの部門があり、これらはさらなる拡大を図る。最近の同社のM&Aはインフラ関連の出資が目立つ。権益などの獲得により「利益積み上げ型」を実践している最中なのであろう。

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