■国内最大の移動体通信業者

 NTTドコモ<9437>は、親会社のNTT(旧日本電信電話公社)によりサービスが開始された無線呼出(ポケットベル)の事業をルーツとしており、1991年8月にエヌ・ティ・ティ・移動通信企画株式会社として設立された。ドコモという社名の由来は、Do Communications Over The Mobile Network(移動通信網で実現する、積極的で豊かなコミュニケーション)の、頭文字をつづったものである(NTTドコモHP参照:https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/about/outline/identity/)。

 92年には政府措置によりNTTから分離され、98年10月に東京証券取引所第一部に上場した。「iモード」の大ヒットなどにより、ITバブル期の2000年には、時価総額40兆円を超え営業利益は1兆円にも達した。そして現在、ドコモの携帯電話市場シェアは16年3月時点で国内トップの約45%である。

■もろくも崩れた海外でのM&A戦略

 98年に上場したドコモは、00年のITバブルにかけて国内移動体通信事業者だけでなくIT企業として国内では圧倒的強さを誇っていた。98年に上場して以降、00年にかけてITバブルとともに株価は跳ね上がり、上場時約8.8兆円だった時価総額はわずか2年後の00年には4倍以上の40兆円にまで達した。この時、親会社のNTTの時価総額を10兆円以上引き離し日本企業トップとなった。

 当時、携帯電話事業はおろかヤフーBBのサービスを始める前のソフトバンクですら時価総額21兆円で、同時期のトヨタ自動車の時価総額が16兆円程度だったことを考慮すると、IT関連株の株価の高騰は異常だったことがよく分かる。

 また、この時のドコモの株価収益率(PER)[注1] は150倍以上、EV/EBITDA倍率[注2]は30倍以上であり、同時期の日経平均のPERが70倍前後(近年は15倍~20倍前後)とITバブルの影響もあり水準こそ高いものの、ドコモのような巨大企業がPER150倍以上になることは通常であれば極めて稀なことである。 [注1] : Price Earnings Ratioの略称。株価収益率。 株価と企業の収益力を比較することで株式の投資価値を判断する際に利用される。時価総額÷純利益、もしくは、株価÷1株当たり利益(EPS)で算出される。[注2]:「簡易買収倍率」ともよばれ、企業の割安性を測る指標。 EV(企業価値)がEBITDA(営業利益+減価償却費)の何倍になっているかを測る 。

 こういった株高を背景に、ドコモの海外でのM&Aは00年前後のITバブル期に集中している。例えば、英ハチソンテレフォン、蘭KPNモバイル、米AT&Tなど、1千億円を優に上回る巨額のM&Aを集中して行っている。