20世紀末には「スマホ先進国」だった日本

 ちなみに「日本が出遅れた」と言われるスマホだが、今から20年以上前の1997年には松下電器産業(現・パナソニック<6752>)がPHS付き携帯情報端末「ピノキオ」を、東芝<6502>がPHS内蔵ポケットコミュニケータ「GENIO(ジェニオ )」など国産メーカーがスマホのカテゴリーに入る端末を発売している。いずれも1台の端末で通話とデータ通信ができる、れっきとしたスマホ。発売時期ではフィンランドのノキアが世界初となるスマホ「Nokia 9000」を発売した1996年に次ぐ早さであり、複数のメーカーがスマホを相次いで投入したことからも、日本がスマホ黎明期においては明らかに「先進国」だった。

 ピノキオやGENIOは販売不振で注目されなかったが、iPhoneが登場する2年前の2005年にはシャープ<6753>が米マイクロソフトの「Windows Mobile」OSを搭載したPHSスマホ「W-ZERO3」を投入し、スマホでは初めてのヒット商品となっている。残念ながら90年代後半に登場した国産スマホの第1世代は国産フィーチャーフォンに敗れ、フィーチャーフォンをしのぐ機能でヒットした2000年代後半の第2世代は後発のグローバルOSにシェアを奪われた。

 結局、国産メーカーは「スマホ先進国」の歴史と経験を生かせず、Android端末メーカーとして生き残りを図る。しかし、安価な中国・台湾製端末や高機能な韓国製端末との競争に勝てず、2008年以降は三菱電機<6503>、東芝、NEC<6701>、パナソニックなどが相次いで携帯電話端末事業から撤退。富士通の事実上の撤退で、残るはソニー<6758>、シャープ、京セラ<6971>となる。もっともシャープは鴻海精密工業の傘下にあり、「純国産メーカー」はソニーと京セラだけだ。

  IDC Japanの調査によると、2017年の国内携帯電話(フィーチャーフォン・スマホの合計)販売台数シェアはアップルが46.6%と圧倒的で、ソニーが13.4%、シャープが9.8%、京セラが8.9%、富士通が8.0%と続く。富士通の「脱落」により、ソニー・京セラの純国産シェアは22.3%、事実上の外資であるシャープを含めても32.1%と3分の1にも届かない。今後、これらの国産メーカーが再び世界で存在感を示すことはできるのか。

iPhone
圧倒的なシェアのiPhoneに単純な高付加価値路線では勝てない