2017年の食品業界は大小合わせて20件強(発表ベース)のM&Aを数える。1年を振り返って、1000億円を超えるような大型案件はなかったものの、食品各社のM&Aへの意欲は旺盛といえる。

対海外企業へのM&Aは活発に推移

 1月半ば、宝ホールディングス<2531>が豪州の日本食材卸会社「ニッポンフード」(シドニー市)の第三者割当増資引き受けによる連結子会社化(議決権比率51%。取得価格約13億円)を発表したことで幕を開けた。日本食人気を追い風に、宝HDはすでに欧州、米国で日本食卸事業に参入しており、アジア・オセアニアでも足掛かりを築くのが狙いだ。 

 海外でのM&Aは活発だ。日本ハム<2282>はウルグアイの大手食肉加工会社「ブリーダーズ&パッカーズ・ウルグアイ」の全株式を約150億円で買収することを発表した。中国・アジア、欧米への食肉供給ルートを確保するのが目的。伊藤ハム米久ホールディングス<2296>はニュージーランド第2位の食肉加工会社「アンズコフーズ」の株式を約80億円で追加取得し、完全子会社化することを決めた。わらべや日洋ホールディングス<2918>は、米国でコンビニにサンドイッチなどを提供する「プライム・デリ」の株式を親会社のプリマハム<2281>から約8億円で追加取得し子会社化(議決権比率80.7%)した。

サントリー食品、ペプシコのタイ飲料事業会社を子会社化

 味の素<2802>は8月、トルコの食品会社「キュクレ」の株式50%を57億円で追加取得し完全子会社化したのに続き、11月には米国の医療食品会社「キャンブルック」の全株式を72億円で取得。同じ11月には、サントリー食品インターナショナル<2587>がペプシコからタイの飲料事業会社「インターナショナル リフレッシュメント」の株式51%を約330億円で取得することを発表。2018年春から合弁事業をスタートさせる計画で、ペプシコの販売網を生かし、タイで清涼飲料水の需要を掘り起こす。

 同時に、サントリー食品インターナショナルはインスタントコーヒー事業を手がける豪州、ニュージーランド、シンガポールの3子会社の株式譲渡に踏み切った。事業の成長性に限界があると判断し、米国の食品会社「クラフト・ハインツ」に約260億円で譲渡した。シンガポールでは、ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>が現地の日本食製造会社「JSTTシンガポール」を約14億円で買収した。

 日清オイリオグループ<2602>は連結子会社で油脂、化成品事業を手がける攝津製油(堺市)を完全子会社した。同じように、オーケー食品工業<2905>は業務用味付け油揚げ製造を手がける同業のベジプロフーズ(埼玉県川島町)を、水産専門商社のニチモウ<8091>は辛子明太子製造のマルキュー食品(福岡県大野城市)を、かどや製油<2612>は家庭用食品ごまの加工製造を手がけるカタギ食品(大阪府寝屋川市)をそれぞれ完全子会社化した。

「マロニー」はハウス食品グループ入り

 デンプン麺「マロニー」で高い知名度を持つマロニー(大阪府吹田市)は、ハウス食品グループ<2810>の傘下に入り、一層のブランド価値の向上を目指すことになった。石垣食品<2901>は、美容健康商材の企画・製造を手がける新日本機能食品(東京都渋谷区)の株式51%を約3億円で取得し、子会社した。

 ジャパン・フード&リカー・アライアンス<2538>は、業務用食品商社の東洋商事(東京都中央区)を完全子会社したほか、麦焼酎「天の刻印」などで知られる佐藤焼酎製造場(宮崎県延岡市)、日本酒の有力ブランドの銀盤酒造(富山県黒部市)を相次ぎ傘下に収めた。

 一見、意外な取り合わせなのが、PC周辺機器の「BUFFALO」などを展開するメルコホールディングス<6676>による製麺大手、シマダヤ(東京都渋谷区)の完全子会社化(2018年4月予定)。シマダヤを1931(昭和6)年に創業した牧清雄氏は、メルコHDを創業した牧誠会長の実父という関係にある。

曽田香料、増田製粉に対してTOB

 TOB株式公開買い付け)は2件。東レ<3402>と三井物産<8031>は香料製造の曽田香料(ジャスダック上場)に対しTOBを開始。曽田香料は元々、東レの連結子会社で、三井物産の持分用適用会社。曽田香料の業績立て直しに向け、東レと三井物産の両社で全株式を取得した。また、三菱商事系の日東富士製粉<2003>は増田製粉所(東証2部)の完全子会社を目指したTOBを開始し、こちらも成立した。

 前年2016年は、アサヒグループホールディングス<2502>がベルギーのビール世界最大手、アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブから東欧5カ国のビール事業を8883億円で買収するという巨大M&Aがあり、2017年はスケールの点で小粒の感は否めなかった。2018年の次の一手に注目したい。

文:M&A Online編集部