東芝の半導体分社化について考える

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※画像はイメージです

もちろん日本の技術を(たぶん)海外に売り渡してしまうことになり、残る東芝も大赤字の(これからもどれだけ赤字が膨らむかわからない)原子力事業だけの会社となってしまい、せっかくの増強した資本も原発補償(それも米国など海外の補償)で食い潰されてしまう国策上も全く意味のない方法となります。

ただ国策上といえば、日米原子力協定があるため日本企業は原発製造を止めるわけにはいかず、東芝もウエスティングハウスを見捨てるわけにはいきません。

そこで発想を変えて原子力事業の方を分社化し、メモリ事業が中心となった(たぶん今の東芝よりもう少しまともな会社になった)東芝が大規模なリストラを条件に2兆円程度の資本増強を行い、そこから1兆円程度の「持参金」を捻出して原子力事業を完全に切り離し、最終的には三菱重工や日立の原子力事業も含めて国家管理にしてしまうべきと考えます(アレバなどを支援している余裕はないはずです)。

ここでいう資本増強とは、公募増資と、金融機関による債務の株式化と、公的ファンドによる優先株引き受けなどの組み合わせとなります。異例の大幅資本増強となりますが、いままでのように東証が過保護に扱えばいいだけです。

もちろん東芝が完全に生まれ変わることが条件となりますが、2015年の不正会計を受けて東芝の経営陣はすでに過半数が社外取締役となっています。しかしこういう危機に際しても「他人事」のようです。

じゃあ誰が経営すればよいのか? 世界中から公募すべきと考えます。もちろん日本人も対象ですが、学者や官僚や銀行出身者や自称経営のプロなど社外取締役予備軍は要りません。

本誌は日産自動車や三菱自動車に限らず「簡単に日本企業を外資に売り渡す」ことには大反対ですが、資本(支配権)をオール日本で確保しているなら外国人の経営までは反対していません。優秀ならインセンティブ付き「やや高給」で雇えばいいわけです。

もし1999年時点で日産自動車をルノーに売り渡さず、オール日本で資本を大幅増強して企業体質を一新し、その経営者としてルノーからカルロス・ゴーンをスカウトしていたなら、少なくとも本誌がいちいち「噛みつく」必要のない日産自動車になっていたはずです。

現在は1999年当時と違い「資金だけは有り余っている」ため、東芝の方向が明確に示されれば大幅資本増強でも可能なはずです。あとは優秀な経営者を「雇ってくる」だけです。

東芝はこのままではどうせロクなことになりませんが、少なくともオール日本にとってマイナスばかりとならない方向に進んでほしいと思います。

つい長文になってしまいました。

本記事は、2017.2.1公開「闇株新聞」より転載しております。

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