ピーチ・アビエーションは国内で3社が競う格安航空会社(LCC)のなかでも、「やんちゃ」かつ優等生的な存在である。大手航空会社ANAホールディングス<9202>の出資を受けつつも、欧州最大手のLCC、ライアンエアーをお手本に独自の経営スタイルを追求。ANAの100%子会社であるバニラ・エア、日本航空<9201>が33%出資するジェットスター・ジャパンと比べて好成績を収めてきた。ピーチがANAの子会社になると、兄弟間のバランスがどう変わるのかのも焦点となる。(前回の記事はこちら

営業益61億円、断トツの収益力

各社の開示資料などを元に筆者作成

 上のグラフは国内LCC3社の前期決算をまとめたものである。(ピーチとバニラ・エアは2016年3月期、ジェットスターは2016年6月期)。売上高はジェットスターが522億円と首位、2位のピーチが479億円、3位のバニラ・エアが217億円と続くのに対して、営業利益はピーチが61億円とダントツの首位。バニラ・エアの約15億円、ピーチの13億円を大きく引き離した。

 売上高営業利益率はピーチが12.9%と唯一の2ケタを記録。バニラ・エア(6.9%)、ジェットスター(2.5%)を大きく上回っているだけでなく、親会社であるANAホールディングス(7.6%)も凌駕している。

コンセプトは空飛ぶ電車、幅広い需要を喚起

 ピーチの高収益の秘密は高い搭乗率と徹底したローコストオペレーションにある。ピーチのコンセプトは「空飛ぶ電車」である。飛行機と言えば、たまにしか利用しない高い乗り物だったが、これを電車のように安く普段使いができる乗り物にしようという意味である。

 国内線は14路線を運営し、通常運賃は例えば、大阪(関西)ー札幌(新千歳)は4890円からと1万円を切る運賃が中心。飛行機を使った日帰り旅行という新たな市場も生み出した。女性をメインターゲットとし、乗客の3割近くが20~30代の女性という。国際線もアジア路線を中心に12路線を展開。訪日客の増加も追い風になり、外国人搭乗率は7割を超えているという(出所:3月1日就航5周年プレスリリース)

 この結果、2016年3月期の搭乗率は86.7%とバニラ・エア(85.3%)、ジェットスター(83%)を上回る好成績を収めている。

コスト削減徹底、チェックイン機を段ボールに

 1旅客あたりの営業費用をみると、ピーチは9178円とジェットスター(9776円)よりも6%ほど安い。使用する機材はエアバスのA320に統一し、整備や訓練に関わる費用を削減。関西国際空港に設置する自動チェックイン機を段ボール製にするなどして無駄なコストをかけないようにしている。

(出所:http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/2468...

 この結果、ピーチの1旅客あたりの売上高は1万536円とバニラ・エア(1万2889円)よりも18%安いにもかかわらず、1旅客あたりの営業利益は1358円と3社で最も高くなっている。