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女性のキレイになりたいをビジネスに オンワードがオーガニックコスメを買収

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最大手アパレルのオンワードが
オーガニックコスメを買収

オーガニックヘアケア製品で人気の「product」が、アパレル最大手のオンワードホールディングス<8016>の傘下となった。

プレスリリースによると、2月2日、オンワードホールディングスは「product」をはじめとするオーガニックヘアケアおよびスキンケア製品を主体に展開する株式会社 KOKOBUY(ココバイ)および Innovate Organics(米国)の株式を取得したと発表。

主力製品である「product」のヘアワックスは、美容に関心の高い女性に人気があり、芸能人のインスタグラムやブログでもたびたび紹介されるなど話題の商品(写真)だ。

productのヘアワックス

43gで定価1980円(税抜)とオーガニックコスメでは買いやすい価格帯なのが魅力

人気商品ゆえ、入荷してもすぐに売り切れてしまうのが難点だったが、昨年末ごろから大型美容院やバラエティストアでも目にするようになり品薄状態は解消された様子。国内での販売網を拡大しているようだ。

(参考)競合製品のジョンマスターオーガニック シャインオン

ジョンマスターオーガニックのシャインオン

113gと大きめサイズで価格は4,536円(税込)。こちらも愛用者が多い

オンワードホールディングスの直近売上高は2635億円(2016/02期)。売上の大半がアパレル関連事業だが(国内アパレル事業76.6%、欧州アパレル事業15.1%、その他)、主力のレディースアパレルの業績が芳しくない。

オンワードホールディングスの主なブランド
・23区 、組曲 、iCB、五大陸、BEIGE, 、グレースコンチネンタル、チャコット など

オンワードが取り扱う主な海外ブランド(ライセンス契約を含む)
・J.PRESS ・JOSEPH 、JIL SANDER、ポールスミス 、ミッソーニ 、ソニアリキエル 、DAKS 、TOCCA、チャールズ&キースなど

オンワードが運営する主なセレクトショップ
・ヴィア・バス・ストップ、OPENING CEREMONYなど

オンワードホールディングスIR資料を基に筆者作成


オーガニックブームは救世主となるか

オンワードは、これまでにも積極的なM&Aによって事業拡大を推し進めてきたが、昨年も国内と海外のアパレル2社を買収するなど同業の買収が大半であった。

今回のオーガニックコスメブランドの買収は、オンワードが持つ顧客層に向けた新たなサービス展開という位置づけであり、「オーガニック」や「ナチュラル」をキーワードにした新たなライフスタイルの提案を試みるものだ。

オンワードホールディングスの主なM&A

年月 買収先 事業内容 エリア 取得価格
1986年10月 J.PRESS(J.プレス) アパレル 米国
1990年10月 チャコット ダンス用品 国内
1998年3月 ダナ・キャラン・ジャパン アパレル 国内
2005年5月 JOSEPH(ジョセフ) アパレル イギリス 166億円
2005年7月 IRIS(イリス) 高級靴メーカー イタリア
2008年10月 クリエイティブヨーコ ペット用品 国内 64億円
2008年10月 JIL SANDER(ジルサンダー) アパレル イギリス 264億円
2009年12月 GRACE CONTINENTAL アパレル 国内
2012年3月 Language、YLANG YLANG、AGOSTO SHOP アパレル 国内 15億円
2013年10月 サクラ自転車 自転車ショップ 国内
2016年4月 Tiaclasse(ティアクラッセ) アパレル 国内
2016年4月 La Maison MOREAU(モロー・パリ) レザーグッズ フランス

女性のキレイになりたいをビジネスに

オーガニックコスメのブランド競争も年々激化しており、M&Aによる異業種からの参入も増えている。

ナチュラルコスメ「MAMA BUTTER(ママバター)」ブランドを展開するビーバイイーは、2011年11月に携帯電話コンテンツ事業会社のザッパラス<3770>が買収。国内のオーガニックコスメ市場を牽引するジョンマスターオーガニック(米)は、2013年3月にスタイラインターナショナル(非上場)が買収し、2016年5月には英投資ファンドのペルミラ傘下に。日本市場で培った直営店方式によるマーケティングノウハウを活用し、世界戦略に力を入れる。また、同じ2016年5月には、総合アパレル大手のTSIホールディングス<3608>がイスラエルのオーガニックコスメ「ラリン」の日本代理店を買収している。

最近の主なオーガニックコスメブランドのM&A

2010年1月 資生堂がベアエッセンシャル(米)を1800億円で買収
2011年7月 ポーラ・オルビスがH2O PLUS(米)を買収
2011年11月 ザッパラスがビバイイーを買収
2011年12月 ポーラ・オルビスがジュリーク(オーストラリア)を買収
2013年3月 スタイラインターナショナルがジョンマスターオーガニックを買収
2014年3月 コーセーがタルト(米)を135億円で買収
2016年5月 TSIホールディングスがラリン(イスラエル)を買収

しかし、世間がオーガニックブームに期待を寄せるほど、市場規模は大きくない。矢野経済研究所によると、2015年度の国内化粧品市場は2兆4010億円、うち自然派・オーガニック化粧品市場はわずか5%程度(1175億円)である。

矢野経済研究所 自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査(2016年)より筆者作成

元々コスメ好きな消費者が従来の化粧品からオーガニックに「くら替え」しているともいえ、今まで全く化粧品に興味を持たなかった層の需要喚起とまでには至っていないようだ。果たして、わずかな市場成長率に望みをかけたオンワードの買収戦略は吉と出るのだろうか。

文:M&A Online編集部

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