本日は、もう少し「内幕」の話です。前回の記事はこちら ソフトバンクのARM買収

ソフトバンクのARM買収に限らず、大型買収には必ず売り手・買い手の双方に複数の「助言会社」がつき、膨大な報酬を山分けしています。この「助言会社」には伝統的な投資銀行も含まれますが、最近は新興のブティック型「助言会社」も目につきます。

また買い手が買収資金の調達を必要とすると(つなぎ融資も含めて)、これに「銀行団」が加わります。この「銀行団」も利息のほかにコミットメント・フィーなど融資報酬を受け取り山分けにあずかります。

ソフトバンクのARM買収には「助言会社」として、売り手のARMにゴールドマン・サックスとラザード・フレール、買い手のソフトバンクにレイン・グループとロビー・ウォーショー、それに「銀行団」としてみずほフィナンシャルグループがつきました。

今回の報酬は売り手側・買い手側の「助言会社」がそれぞれ6000万ドル(63億円)、「銀行団」が4500万ドル(47億円、利息は別)、合計1億6500万ドル(175億円)のようですが、これは要した時間が2週間だったことも考えると「かなり高い」と感じます。

「銀行団」から説明しますが、ソフトバンクは以前から日本興業銀行、富士銀行と取引があった関係で、みずほフィナンシャルグループはソフトバンクが2006年に英ボーダフォンを買収したときに1兆4500億円のシンジケート・ローンを、2012年にスプリント・ネクステルを買収したときに1兆6500億円の緊急協調融資をまとめています。

今回のARM買収では、みずほフィナンシャルグループが1兆円のつなぎ融資をコミットしています。期間2年のつなぎ融資というのも珍しいのですが、今回は単独なので利息(未公表ですがたぶんTibor+80bpで1%前後?)のほかに4500万ドル(47億円)の報酬を独り占めします。

さてソフトバンク側の「助言会社」のうち、レイン・グループはゴールドマン・サックスのパートナーで投資銀行部門のメディア責任者だったジョー・ラビッチ氏と、UBSでメディア・テレコム部門責任者だったジェフ・シネ氏が共同で設立し、のちに米国野村で投資銀行部門責任者だったグレン・シフマン氏(リーマン・ブラザーズ出身)も加わっています。

また元グーグルCEOのエリック・シュミット氏、元フェイスブック社長のショーン・パーカー氏、元ニューズCOOのピーター・チャーニン氏らも出資者に名を連ねており、それぞれの人脈を生かしたアドバイスを(もちろん有償で)行っているはずです。

さらに今回、孫社長がレイン・グループの取締役であることが「発覚」しました。やや問題がありますが、ソフトバンクの株主が異を唱えなければ大丈夫でしょう。

要するにレイン・グループはIT、メディア、通信業界におけるドリーム・チームであり、2012年にソフトバンクがスプリント・ネクステルの発行済み株数の70%を201億ドルで買収した時もドイツ銀行、みずほ銀行とともに「助言会社」をつとめていました。「助言会社」はソフトバンク側だけで1億ドル近い報酬を得たようです。

今回のソフトバンクのもう1つの「助言会社」であるロビー・ウォーショーは、ゴールドマン・サックスの投資銀行部門トップだったサイモン・ロビー氏と、UBSの投資銀行部門トップだったサイモン・ウォーショー氏が共同で設立しました。