「君、クビだから」とオーナー経営者の理不尽な一言で解任され、泣く泣く会社を去った取締役の悲話は決して珍しくない。瀬戸欣哉はLIXILグループの旧トステムオーナー家出身の潮田洋一郎に乞われて同社のCEOに就任するが、M&Aを巡り対立が深まる。
希望退職者の募集結果についての発表が連日続いている。今年に入って2カ月余りだが、その数は上場企業だけですでに20社近い。応募者が最多だったのは旅行大手の近畿日本ツーリストなどを傘下に持つKNT-CTホールディングスの1376人で、LIXILの965人、オリンパスの844人などが次ぐ。
「新型コロナ」下、上場企業でも雇用情勢は厳しさを増すばかりだ。2020年に希望退職の募集を発表した企業は少なくとも93社(M&A Online編集部調べ)に上り、前年の2.6倍に急拡大した。募集人員は1万7000人を超える。
11月に入り、上場企業による希望(早期)退職者募集が激増中だ。今年最多だった10月の12件に半月足らずで並んだ。1月からの累計では約80社を数え、すでに前年の2倍を優に超える。新型コロナ禍の出口が見通せない中、雇用情勢は緊迫の度を増している。
希望(早期)退職者の募集に踏み切る上場企業が増加の一途をたどっている。11月だけで5社が計画を発表し、その顔ぶれも味の素、LIXILグループ、ファミリーマート、ノーリツ、オンキヨーと有名どころが並ぶ。今年に入ってからだとすでに27社に上る。
2019年1月施行の改正開示布令で、役員報酬ので固定部分、短期・中長期の業績連動部分については具体的に有価証券報告書に記載しなければならなくなりました。
トップ人事に端を発するLIXILグループの経営対立は6月25日の定時株主総会に向け、決戦の火ぶたが切られた。株主の元には総会の招集通知が一斉に送られたが、会社側が同封したのが委任状。会社提案への支持票の取り込みが狙いだ。
全豪オープンテニスで激戦を制し、ベスト8にコマを進めた錦織圭選手のウェア左袖に縫い付けられているLIXILがMBO(経営陣買収)を巡って揺れている。
買収時の想定に 反して巨額損失の計上に追い込まれるM&Aは、いつの時代にも少なからず存在する。前回に続き、近年の事例を振り返り、考える契機としたい。
沼上幹「ゼロからの経営戦略」では、経営学の考え方が様々な企業の実例を通じて学べる。経営者だけでなく、戦略的思考を身につけたいビジネスパーソンにおすすめの1冊だ。