雪国まいたけの再上場を仕掛けた投資ファンド「ベインキャピタル」とは

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雪国まいたけ創業者が67%保有する不可能なTOBを成立させた実力

まいたけ
画像はイメージ(Photo by 花ざかりの森)

ベインキャピタルが伝説的なTOBを仕掛けたのが、9月17日に再上場した雪国まいたけです。

雪国まいたけは大平善信氏が創業した会社です。大平氏は大量生産は絶対不可能といわれた舞茸の人工栽培に成功しました。舞茸の生態すら知らなかった大平氏は、2年間小さな工場にこもって研究したといいます。やがて舞茸が育つ山奥の環境を人工的に作り出しました。大平氏は大量生産化が成功した後、栽培技術が外部に漏洩しないよう作業工程を細分化。全行程を把握する社員をごく一部に絞り込みました。

血のにじむような努力の結晶を、何としてでも自分の手中に収めておきたいという、創業者の凄まじいまでの気迫が感じられます。

雪国まいたけは1994年に新潟証券取引所に上場。新潟取引所が東京証券取引所と合併したため、2000年に東証2部に上場しました。潮目が変わったのは2013年。不適切な会計処理が行われていたとして、大平氏が辞意を表明したのです。社長には星名光男取締役が就任。大平氏は顧問に退きました。ところが2014年6月の株主総会で星名氏は取締役に選ばれず、元ホンダ専務取締役の鈴木克郎氏が社長に就任しました。

この人事に大平氏は大激怒。経営陣と対立します。創業者側は臨時株主総会の開催を求めました。創業者が実権を握り続けることに将来性を見いだせなかった経営陣とメインバンクの第四銀行は、ベインキャピタルを招いて一計を案じます。TOBを実施したのです。

創業者側の保有比率は67.33%。TOBが成立して経営権を握ることなどあり得ません。そこで第四銀行が担保にとっていた株式に担保権を行使しました。理由は雪国まいたけの業績が悪化して担保価値が減少し、融資の返済も滞っていたため。こうした事象で銀行が担保権を行使することは滅多にありませんが、創業者の一掃を狙って強引な手段に打って出たのです。これによって第四銀行は39.23%の株式を保有することとなります。取引していた銀行が次々と担保権を行使し、すべて合わせて51.44%の株式を握りました。過半数を取得したベインキャピタルは、雪国まいたけ全株を保有することとなったのです。

2015年にTOBが成立して雪国まいたけは上場廃止となりました。ベインキャピタルは2017年10月に米卸大手の神明ホールディングス(神戸市)に持ち株の49%を売却しています。

雪国まいたけの業績は堅調に推移しています。2020年3月期の売上は前期比4.9%増の328億8,900万円、経常利益は38.4%増の50億3,100万円でした。

■雪国まいたけ業績推移

(百万円) 2019年3月期 2020年3月期 前期比
売上高 31,340 32,889 104.9%
経常利益 3,634 5,031 138.4%
純利益 2,357 2,716 115.2%

有価証券報告書より筆者作成

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