ミルテル(広島市)は、遺伝子検査を手がける広島大学発の医療スタートアップ。2012年9月に設立、創業者でもある田原栄俊同大学院医歯薬保健学研究科教授による細胞分子生物学の研究成果を活用した予防検査で注目されている。

「未病」のうちに対応するための検査

血液検査から遺伝子情報を解析し、がんや生活習慣病、認知症はじめ老化との関係が深い疾病にかかるリスクや遺伝的体質、疾患の早期予測などを調べることができる。すでにかかっている病気の検査ではなく、病気になる前に疾患リスクを知ることができる、いわば「未病対策」の切り札といえる技術だ。

現在、ミルテルが展開しているのは「テロメアテスト」と「ミアテスト」。「テロメアテスト」は細胞の老化を決める「テロメア」を解析し、持って生まれた「遺伝子の強さ」や、日常のストレスによる「遺伝子の疲労度」を測定する。これにより、現在「健康な状態」に近いのか、それとも疾患発症の状態」に近いのかが分かる。

「ミアテスト」は臓器の疾患細胞から分泌される疾患特異的な因子(マイクロRNAなど)を検出し、疾患を早期発見する検査。がんやアルツハイマー型認知症などの疾患に特有のマイクロRNAを検出し、その数量の変化を測定することで早期発見を実現する。乳がんや膵臓がん、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、腎臓がん、前立腺がん、子宮頸がん、卵巣がん、脳腫瘍など、幅広いがんのチェックに利用できるのが特徴だ。

がんをはじめとする生命を脅かす疾病は「早期発見・早期治療」が大原則。そのベストの対応は、病気になる前に治療(予防)を始めることだ。同社の検査でリスクが高いと分かれば、提携医療機関の医師から食事や生活改善についてのアドバイス受けて、疾患の発症を防ぐことができるという。

定期的な検査により、早い段階で疾病を発見できる可能性も高い。その結果、治療方法の選択肢が広がり、より副作用の少ない薬の選択や完治率の向上などが期待できる。

ミルテルの検査でメリットを享受するのは患者だけではない。高齢化に伴う医療コスト負担に頭を痛める国や地方自治体にとっても、重篤化による医療費の高騰を防げる同社の技術はありがたい。

一方、ミルテルにとっても病気のリスクをチェックするため定期的に検査を受けてもらうので、「完治したら終わり」の治療と違って経営も長期安定する。まさに「三方良し」のビジネスモデルだ。

こうした高い成長性が認められ、2020年5月にひろしまイノベーション推進機構や広島ベンチャーキャピタルが運営するファンドなどを引受先とした第三者割当増資により、合計4億6000万円の調達に成功している。

文:M&A Online編集部