投資ファンド・ベインキャピタル(ボストン)が、9月10日ドラッグストアのキリン堂ホールディングス<3194>に公開買い付けを実施してMBOを支援すると発表しました。ドラッグストアは競争と再編が激しい業界の一つで、新型コロナ特需も加わってひときわ注目度の高い分野です。ベインキャピタルは、このような目を引く案件を次々と手掛けてきました。

9月17日に上場する雪国まいたけ<1375>では、創業者と対立する経営陣と銀行のホワイトナイトとして活躍。経営権を握って再上場へと導きました。ウエスチングハウスの巨額損失の穴埋めとして、東芝<6502>の主力となっていたメモリ事業をカーブアウトした立役者もベインキャピタルでした。東芝メモリはキオクシアホールディングス<6600>として10月6日に上場します。

投資ファンドの中でも活躍ぶりが目立つベインキャピタルとは、どのようなファンドなのでしょうか?この記事では以下の情報が得られます。

・ベインキャピタルの概要
・投資先
・雪国まいたけの顛末
・東芝メモリ買収の手法

設立にかかわったミット・ロムニー氏は大統領候補にも

すかいらーく
2017年に米投資ファンドにすかいらーく全株を売却

ベインキャピタルは1984年に米国で設立されました。創立メンバーは2名います。一人はマサチューセッツ州知事を務め、2012年に大統領共和党指名候補となったミット・ロムニー氏。ロムニー氏は現在、ユタ州選出の合衆国上院議員です。そしてもう一人がボストンコンサルティンググループの副社長を務め、世界的なコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーを立ち上げたビル・ベイン氏です。なお、ベイン・アンド・カンパニーとベインキャピタルに資本関係はありません。

拠点は本社ボストン、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど米国を中心に、ロンドン、ミュンヘン、シドニー、ムンバイ、上海、香港など世界中に広がっています。運用している資産額は750億ドルです。全世界の社員数はおよそ1,000人で、日本の社員数は40人。日本代表は杉本勇次氏です。

杉本氏は1969年生まれ。慶應義塾大学を卒業後、三菱商事<8058>に入社しました。ハーバード・ビジネススクールで経営学修士を取得後、投資ファンド・リップルウッドに入社。2006年の日本オフィス設立と同時にベインキャピタルの日本代表に就任しています。

投資先は、すかいらーく<3197>、ドミノ・ピザジャパン(千代田区)、大江戸温泉物語(中央区)などのサービス業から、日本風力開発(千代田区)といった産業財、昭和飛行機工業(昭島市)の製造業まで多岐に渡っています。

■ベインキャピタル主な投資実績

企業名 事業内容 支援内容 ステータス
ジュピターショップチャンネル テレビショッピング専門チャンネル アジア市場への海外展開
顧客基盤・マーケティング力の拡充
エグジット済み
ドミノ・ピザジャパン 宅配ピザチェーン マーケティング戦略強化
インセンティブ導入店舗生産性向上
エグジット済み
サンテレホン 情報通信機器 経営インフラの強化
営業力・製品戦略強化
エグジット済み
大江戸温泉物語 温泉旅館 新規出店戦略の推進
リート立ち上げ準備とIPO
100%保有
雪国まいたけ キノコ栽培 製品マーケティング・ブランドの強化
海外市場展開
51%保有
日本風力開発 風力発電開発・運営 資金調達の最適化
メンテナンス体制の強化
100%保有
マクロミル インターネット調査 海外市場展開
新サービス開発
15%保有
ベルシステム24 コールセンター 営業戦略の強化
コスト構造最適化
エグジット済み
すかいらーく ファミリーレストランチェーン 出店戦略の推進
コスト最適化
エグジット済み
アサツーディ・ケイ 総合広告代理店 構造改革支援
デジタル戦略強化
87%保有
東芝メモリ 製造業 財務管理体制強化
オペレーション改善
49.9%保有
エンバーポイント メール配信ソフトウェア 経営基盤の強化
営業・マーケティングへの投資
100%保有
昭和飛行機工業 輸送用機器製造 コスト最適化
営業戦略最適化
100%保有

ホームページを基に筆者作成

海外の投資先では、玩具小売大手のトイザらス、セキュリティソフトのシマンテックが良く知られています。海外では特に、アジアパシフィックメディカルグループなどのヘルスケア部門に積極的な投資をしています。