NEXT STORY
5年ぶりの件数減 2020年の調剤薬局・ドラッグストア業界のM&A
2020年(2020年12月21日時点)の調剤薬局・ドラッグストア業界におけるM&Aは、2015年以来5年ぶりの減少となった。新型コロナウイルス感染症の拡大は多くのドラッグストアには増収増益をもたらす「追い風」となっており、買い手はあれど売り手が少ない状況と言えそうだ。
主要ドラッグストア6社の決算が出そろった。決算期は2月、3月、5月と異なるもののウエルシアホールディングス<3141>、コスモス薬品<3349>、サンドラッグ<9989>、スギホールディングス<7649>の4社は増収増益を達成した。
一方、ツルハホールディングス<3391>は増収ながら当期減益に、マツモトキヨシホールディングス<3088>は売上高が前年度を下回るとともに、利益も全段階で減益となった。
ドラッグストア業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でマスクや消毒用アルコールなどの衛生関連需要の高まりや食料品、生活用品などの巣ごもり関連商品の需要拡大などのプラス要因があった。
その半面、営業時間の短縮や、入国制限によるインバウンド需要の消失、テレワークなどの普及による化粧品需要の低迷などに、競合企業の出店拡大に伴う競争の激化などが加わり、経営環境は厳しい状況下にあった。
それぞれの状況を見てみると。
ウエルシアホールディングスの2021年2月期は9.4%の増収を達成、利益は2ケタの伸びを示し、最も伸び率の高い当期利益は22.8%に達した。
2020年3月に、よどや(24店舗)を、同年6月にクスリのマルエ(59店舗)を、同年7月にネオファルマー(10店舗)とサミット(3店舗)をそれぞれ子会社化したほか、同年11月に上新電機の近畿地区5店舗のドラッグストアを、同年12月にホームセンターみつわの福井県の3店舗を譲り受けた。
これによりグループ全体で店舗数は124店舗増え、閉店した店舗23店舗を差し引いても100店舗以上の純増となり、トータルで店舗数が2217店舗となったのが、好調の要因となった。
関連記事はこちら
・5年ぶりの件数減 2020年の調剤薬局・ドラッグストア業界のM&A
・【ウエルシアHD】ドラッグストア戦争で「空白地」をどう攻める
サンドラッグの2021年3月期は2.7%の増収、営業、経常は2%台、当期は6.9%の増益となった。
2020年4月サンドラッグファーマシーズを吸収合併し効率化したほか、グループ全体で63店舗出店し、15店舗を閉店した結果、トータルの店舗数は1216店舗となった。
スギホールディングスの2021年2月期は2ケタの増収を達成。利益は営業、経常ともに2ケタの増益となったものの、当期利益は1.6%の増益にとどまった。
店舗は関東、中部、関西、北陸エリアに積極的に出店し、121店舗を新規出店し、17店舗を閉店したため、トータルの店舗数は1391店舗となった。
コスモス薬品の2021年5月期は6.1%の増収ながら利益は2ケタアップとなっており、とくに当期利益は26.7%の大幅な増益となった。
同社では「自社競合による一時的な収益性の低下も厭わず、次々と新規出店した」としており、78店舗を新たに開店し、インバウンド需要の比率が高かった店舗など合計6店舗を閉店。トータルの店舗数は1130店舗となった。
これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。
2020年(2020年12月21日時点)の調剤薬局・ドラッグストア業界におけるM&Aは、2015年以来5年ぶりの減少となった。新型コロナウイルス感染症の拡大は多くのドラッグストアには増収増益をもたらす「追い風」となっており、買い手はあれど売り手が少ない状況と言えそうだ。