「旅行氷河期」にエアトリが中間決算で過去最高益を記録した理由

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旅行予約サイトのエアトリ<6191>が2021年9月期中間決算で、過去最高の営業黒字を計上した。旅行業界は2020年春以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を受けた自粛ムードで厳しい環境にある。なぜエアトリは「旅行氷河期」にもかかわらず、最高益を実現できたのか?

多角化が奏功して半期では過去最高益に

エアトリが苦戦しなかったわけではない。旅行市場の縮小により、売上高は前年同期比24.0%減の112億200万円と厳しい状況にある。売上高が減少したにもかかわらず、営業利益は20億100万円(前中間期は13億3200万円の赤字)の黒字に。エアトリが増益にこぎつけたのは、多角化のおかげだ。

多角化した事業の多くは、「逆風」のはずのコロナ禍を「追い風」にしている。ヘルスケア事業では法人向けのPCR検査・抗体検査予約代行サービスがヒットし、新たな収益の柱として成長した。

エアトリが提供するPCR検査・抗体検査予約代行サービス(同社ホームページより)

Wi-Fiレンタル事業ではコロナ禍以前にインバウンド(訪日観光客)向けに貸し出していた国内用のモバイルWi-Fiルーターをリモートワークの通信回線を求める個人や企業に提供することで好調を維持している。

ベトナムで情報システム開発などを手がけるITオフショア開発事業も、在宅勤務(リモートワーク)の流れもあって受注が拡大し、売上高は9億2500万円、セグメント利益は6億1300万円となった。

コロナ禍とは直接関係ないが、東証マザーズ上場企業やスタートアップ企業を対象にした投資事業は投資先を66社まで拡大し、売上高3億4500万円と小ぶりながらセグメント利益(株式評価益を含む)が4億3500万円を計上している。

一方、主力のオンライン旅行事業の売上高は99億3100万円で、セグメント利益は13億9400万円の黒字を確保した。オンライン旅行事業との比較では、ITオフショア開発事業と投資事業は売上高こそそれぞれ9.3%と3.4%にすぎないが、利益額は43.9%と31.2%に相当する。多角化した事業の高い利益率が最高益更新につながった。

同社を史上最高益に押し上げた事業多角化が実現したのは、積極的なM&Aのおかげだ。エアトリはコロナ禍前まではひたすら買収を続けていたが、2020年9月以降は3件続けて売却した。コロナ禍で「本業」のオンライン旅行事業が厳しい状況となり、事業の「選択と集中」に取り組み始めたようだ。

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