新型コロナに効く「抗体カクテル療法」ってなに?

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中外製薬<4519>は、抗体カクテル療法に用いる「カシリビマブ」と「イムデビマブ」の2種の抗体を、新型コロナウイルス感染症治療薬として製造販売する承認の申請を厚生労働省に行った。

同社によると抗体カクテル療法を用いた海外での第3相臨床試験では、入院していない高リスク(重症化のリスク因子を持つ)の新型コロナウイルス感染症患者の入院や死亡のリスクが70%低下したという。

ワクチンは感染のリスクを下げることができるが、効果は95%ほどで感染がゼロになることはない。このため治療薬は不可欠な存在で、有効な治療薬が登場することで、新型コロナウイルスと戦う武器が揃うことになる。

その武器の一つとなる抗体カクテル療法とはどのようなものなのか。

入院や死亡のリスクが70%低下

カクテル療法は同じような効果を持つ複数の薬剤を同時に用いる治療法で、単独の薬剤を使用する場合よりも治療の効果が高まることが知られている。

新型コロナウイルスに関しては、2020年秋に米国のトランプ前大統領が新型コロナウイルス感染症で入院した際に、治療薬のレムデシビルとともに、抗体カクテル療法が用いられた実績がある。

今回、中外製薬が製造販売承認の申請を行ったのは新型コロナウイルスの抗体カシリビマブとイムデビマブで、両抗体を用いた抗体カクテル療法の臨床試験(入院していない高リスクの新型コロナウイルス感染者4567人が対象)では、プラセボ(偽薬)との比較で、入院や死亡のリスクを、1200ミリグラムの静脈内投与で70%、2400ミリグラム静脈内投与で71%低下させることができた。

低リスク(新型コロナウイルス感染症の症状はあるが重症化のリスク因子を持たない)や、新型コロナウイルス感染症の症状のないケースでも、ウイルス量の減少が認められたという。

中外製薬は2020年12月に、スイスの製薬会社ロシュとの間で、抗体カクテル療法の日本での開発権と独占的販売権を取得しており、2021年5月には、この療法が承認された場合は、2021年分を日本政府が確保することで合意していた。

すでに米国では入院していない感染者に対する治療薬として米国の食品医薬品局(FDA)から緊急使用の許可を取得している。

4番目の治療薬となれるか

現在、日本ではレムデシビル(DNAやRNAを構成するヌクレオチドの類似体)、デキサメタゾン(ステロイド系の抗炎症薬)、バリシチニブ(関節リウマチ治療薬)の3種が、新型コロナウイルスの治療薬として承認されている。

中外製薬は今回の抗体カクテル療法について、短期に承認が得られる特例承認の適用を希望しており、早ければ年内にも4番目の治療薬として承認される可能性がありそうだ。

文:M&A Online編集部

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