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やっぱり強かった牛丼「すき家」ゼンショーが今期コロナ越えに
ゼンショーホールディングスの国内の外食事業で、明暗がくっきりと現れた。2021年3月期に「すき家」の売上高が1%台の微減に留まったのに対し、「ココス」などのレストラン事業は、同20%を超える大幅な減収となった。
外食産業で大型の資金調達が相次ぐ中、調達企業の業績に明暗が現れており、資金の使途にも違いが見えてきた。
牛丼チェーン店すき家などを展開するゼンショーホールディングス<7550>、ファミリーレストランのガストなどを展開するすかいらーくホールディングス<3197>、ファミリーレストランのロイヤルホストなどを展開するロイヤルホールディングス<8179>、居酒屋の和民などを展開するワタミ<7522>の4社は大型の資金調達を実施し、合計の調達額は1000億円を超える。
資金の使途はコロナ禍で傷んだ財務基盤の強化や、新店出店、業態転換などで、文字面だけを追うと大差はないが、内容をよく見るとそれぞれの置かれた環境の違いが浮かび上がってくる。
ゼンショーホールディングスは2021年6月30日に、日本政策投資銀行から、返済の優先度が低い「劣後ローン」200億円を含む、総額300億円を調達する。
コロナ禍で厳しい経営状態が続く中、財務体質を強化するとともに、中国や北米などで牛丼店やすし店の出店を増やし、事業を拡大するのが狙いだ。
ゼンショーの2021年3月期は前年度比5.6%の減収にとどまったが、営業利益は同42.2%、経常利益は同38.6%、当期利益は同81.1%の大幅な減益となった。
2022年3月期は、売上高は同15.6%の増収、営業利益は同86.3%の増益、経常利益も同70.2%の増益、当期利益は約4倍に急増し、コロナ前の水準に回復する見込みだ。
【ゼンショーホールディングスの業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想
2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | |
売上高 | 6304.35 | 5950.48 | 6880.63 |
営業利益 | 209.18 | 120.88 | 225.16 |
経常利益 | 199.03 | 122.15 | 207.89 |
当期利益 | 119.78 | 22.59 | 91.39 |
すかいらーくホールディングスは2021年6月28日までに公募増資と第三者割当増資で426億円を調達した。
調達資金は2022年12月末までに、工場設備投資資金に30億円を、IT投資資金に60億円を投じるほか、2023年12月末までに、新規出店のための設備投資資金に60億円を、既存店の業態転換、店舗改装などのための設備投資資金に100億円を投じる。残りの176億円は2021年7月末までに短期借入金の返済資金に充てる。
すかいらーくの2020年12月期はコロナ禍で、営業、税引き前、当期の全段階で赤字に転落したものの、2021年12月期は黒字に転換できる見込みだ。
【すかいらーくホールディングスの業績推移】単位:億円、2021年12月期は予想
2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | |
売上高 | 3753.94 | 2884.34 | 2850 |
営業損益 | 205.62 | △230.31 | 50 |
税引き前損益 | 167.29 | △264.33 | 10 |
当期損益 | 94.87 | △172.14 | 4 |
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ゼンショーホールディングスの国内の外食事業で、明暗がくっきりと現れた。2021年3月期に「すき家」の売上高が1%台の微減に留まったのに対し、「ココス」などのレストラン事業は、同20%を超える大幅な減収となった。