コロナ禍の中、飲食業の倒産が減少している。東京商工リサーチによると、2021年上半期(1~6月)の飲食業の倒産(負債1000万円以上)件数は330件で、前年同期(418件)よりも21%減少した。上半期に前年同期を下回ったのは3期ぶりという。
国や自治体、金融機関などによる資金繰り支援が功を奏したと見られており、2007年以降の15年間では2015年上半期(312件)に次ぐ、2番目の低水準にとどまっている。
ただ、コロナ禍で飲食業が大きなダメージを受けているのは事実で、営業時間の短縮や休業要請などによる協力金支給が遅れているほか、営業再開が困難な店舗があるなど、今後飲食店の倒産が増えることも予想される。
7月12日には東京都に4回目の緊急事態宣言(8月22日まで)が発出される予定で、飲食業は依然として厳しい環境下にある。資金繰り支援の効果はいつまで続くだろうか。
2021年上半期の業種別倒産状況をみると、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の91件(前年同期比17.2%減)が最も多く、「酒場、ビアホール(居酒屋)」の79件(同7.0%減)、「食堂、レストラン」の52件(同49.5%減)と続く。
このうち新型コロナ関連倒産は145件(構成比43.9%)で、新型コロナ関連倒産の構成比が高かったのは「そば・うどん店」の60.0%(新型コロナ関連倒産3件)、「酒場、ビアホール(居酒屋)」の59.4%(同47件)、「持ち帰り飲食サービス業」の50.0%(同4件)の順だった。飲食業の新型コロナ関連倒産の構成比は、2020年12月以降7カ月連続で30%を超えているという。
日本政府は東京都に4回目の新型コロナウイルス緊急事態宣言を発出するほか、沖縄県に発出中の緊急事態宣言を延長し、埼玉、神奈川、千葉、大阪の4府県のまん延防止等重点措置の延長も決めた。
新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が進んでいるものの、東京商工リサーチでは「コロナ禍の収束時期次第では、息切れや先行きへの諦めから倒産が増勢に転じる可能性が高まっている」としている。
文:M&A Online編集部
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