「ポストコロナ」を見据え、社会・経済活動の正常化が期待される2022年。そんな今年もすでに20社を超える上場企業で社名変更が予定されている。どんな顔ぶれなのか。
元日付で社名を変えたのは8社(一覧表)。このうち、戸建住宅のオープンハウス、不動産売買仲介のハウスドゥ、マーケティングサービスのレッグスは持ち株会社への移行に合わせて社名を変更した。一方、自動車用空調部品のサンデンホールディングスは事業再編で持ち株会社を廃止したのを受け、社名からホールディングスを外した。
首都圏や大阪市で保育事業を手がけるglobal bridge HOLDINGSは「AIAIグループ」に変更した。同社は「AIAI(あい・あい保育園)」の名称で認可保育園を80園展開している。ブランドと社名を統一し、認知度の向上につなげる狙いだ。搬送機器メーカーの妙徳も同様に、製品名の「コンバム」を新社名とする。
2022年の社名変更で最大のビッグネームといえば、パナソニックだ。持ち株会社への移行に伴い、4月1日に「パナソニックホールディングス」に改める。持ち株会社をグループの司令塔として明確に位置付け、その傘下に家電や電設資材、住宅、自動車関連などの各事業会社を配置する。パナソニックの名前は祖業である家電事業を担う子会社が引き継ぐ。
パナソニックの旧社名は松下電器産業。「経営の神様」と言われた松下幸之助が1918(大正7)に大阪市に設立した松下電気器具製作所に始まり、1935年に松下電器産業となった。2008年に行われた前回の社名変更は実に73年ぶりという歴史的なものだった。
これに比べ、今回の社名変更はホールディングスを加えただけのマイナーチェンジに映るが、ライバルのソニーグループに業績面で大きくリードを許す中で、巻き返しの狼煙(のろし)となるか注目される。そのソニーも昨年4月、持ち株会社化に伴い、「ソニーグループ」に63年ぶりに社名変更した。
宇部興産は80年ぶりの社名変更に踏み切る。同社の前身は1897年に創業し、機械、セメント、化学へと事業を拡大し、1942年に各事業会社が合併して宇部興産となった。長年、複合経営を身上としてきたが、すでに機械事業を分社化し、セメントも今年4月に三菱マテリアルとの事業統合を控える。化学専業メーカーとして再出発するのに合わせ、4月に「UBE(ユービーイー)」に改める。
「住友ファーマ」に変更するのは大日本住友製薬。2005年に住友製薬と大日本製薬の合併で発足した同社だが、世界で通用する「住友」ブランドを前面に打ち出し、事業のグローバル化にアクセルを踏み込む。
一風変わった社名に変えるのは日本商業開発。1月10日をもって「地主」を名乗る。同社はスーパーやホームセンターなどの商業施設向けに、定期借地権を活用し、建物は所有せず、土地のみに投資する“地主ビジネス”を展開している。
システム構築大手の日本ユニシスも大胆な変更を予定している。新社名は「BIPROGY(ビプロジー)」。光が屈折・反射した時に見える7色の頭文字からなる造語という。顧客企業のデジタル変革を支援するDX(デジタルトランスフォーメーション)領域でのビジネス拡大に意気込む。
◎2022年:上場企業の社名変更
変更日 | 新社名 | 旧社名 |
1/1 | オープンハウスグループ | オープンハウス |
〃 | And Doホールディングス | ハウスドゥ |
〃 | THE WHY HOW DO COMPANY | アクロディア |
〃 | CLホールディングス | レッグス |
〃 | コンバム | 妙徳 |
〃 | サンデン | サンデンホールディングス |
〃 | AIAIグループ | global bridge HOLDINGS |
〃 | HSホールディングス |
澤田ホールディングス |
1/10 |
地主 |
日本商業開発 |
2/1 |
NATTY SWANKYホールディングス |
NATTY SWANKY |
〃 |
関西フードマーケット |
関西スーパーマーケット |
3/1 |
ギフトホールディングス |
ギフト |
4/1 |
セルシス |
アートスパークホールディングス |
〃 |
デジタルプラス |
リアルワールド |
〃 |
UBE |
宇部興産 |
〃 |
住友ファーマ |
大日本住友製薬 |
〃 |
IC |
インフォメーションクリエーティブ |
〃 |
NITTAN |
日鍛バルブ |
〃 |
パナソニックホールディングス |
パナソニック |
〃 |
パリミキホールディングス |
三城ホールディングス |
〃 |
A&Dホロンホールディングス |
エー・アンド・デイ |
〃 |
BIPROGY |
日本ユニシス |
〃 |
三愛オブリ |
三愛石油 |
文:M&A Online編集部
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