樹脂製のマウスピースで歯を矯正する「SheepMedical」の戦略とは

alt
歯科矯正用マウスピース

アライナーと呼ばれる歯科矯正用マウスピースを手がけるSheepMedical(東京都新宿区)が、グローバル展開を加速している。

同社は2017年設立のスタートアップ企業だが、アライナーの世界市場が今後10年間で4倍ほどに拡大する見込みのため、一気に攻勢をかけることにした。

すでにベトナムとシンガポールで事業を始めており、2022年の前半までに米国、タイ、インドネシア、インド、中国、台湾、フィリピンで事業を立ち上げ「グローバルのメジャープレーヤーを目指す」(田畑信哉取締役)という。

さらに将来は20カ国程度にまで進出先を拡大することを視野に入れて、事業計画を進めることにしており、M&Aにつても積極的に活用していく方針だ。

世界共通の体制を構築

アライナーは樹脂(ポリウレタン)製のマウスピースで、歯並びや口元の間隔、あごや噛み合わせなどを矯正することができる。同社製品では治療期間は4カ月から1年半ほどで、治療の段階に合わせ1カ月ほどで新しいマウスピースに取り換え、少しずつ歯を動かしていく。

ワイヤ-を使った従来の矯正法の治療期間が1年から3年ほどのため、症例によっては短期間で治療ができ、費用も従来法の3分の1から4分の1の20万~30万円で済む。

マウスピースは歯科医院から送られてくる歯のデータを基に一人ひとりの歯に合わせて作成する。半透明なため、目立ちにくいほか、取り外しも容易で、金属アレルギーなどに対する不安もない。

米国の先行企業による特許が切れたことから、同分野への新規参入が相次いでいる。同社ではアライナ―作成のための技術や手順、治療全体などについてシステム化を進め、世界共通の体制を構築してグローバル展開する。

出口戦略は未定

SheepMedicalは、2021年3月に腸内細菌の検査会社を、同年7 月にデジタルマーケティングの会社を、さらに同年11月に歯科矯正などの事業を手がける中国の同業社を子会社化した。

すでに検査会社とマーケティング会社は合併で社内に取り込み、新規事業開発を担う組織として活動している。中国企業は近く中国国内でアライナ―の製造販売を開始する。

田畑信哉取締役

過去3決算期の売上高の成長率は 1660.9%で、デロイト トーマツ グループが2021年12月14日に発表したテクノロジー・メディア・通信業界の売上高成長率ランキング「2021 年 日本テクノロジー Fast 50」で、50 社中 3 位となった。

同社ではIPO(新規株式公開)やM&Aなどの出口戦略は固めておらず、田畑信哉取締役は「どのような形のイグジットであっても、まずは投資家から価値を認めてもらえるような企業にしたい」としている。


文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

「未上場株」の売買が容易に IPO、M&Aに次ぐ資金回収手段に

「未上場株」の売買が容易に IPO、M&Aに次ぐ資金回収手段に

2021/12/09

クラウドファンディング事業を手がける日本クラウドキャピタルは12月8日、未上場株式の売買が可能なサービス「ファンディーノマーケット」を立ち上げた。売却できる仕組みが整ったことで、今後未上場株に対する関心が高まりそうだ。