増収増益の「スシロー」と営業赤字の「くら寿司」明暗分けたのは何なのか

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写真はイメージです

回転ずし大手2社の決算が出そろった。「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIES<3563>が2021年11月5日に2021年9月期決算を、「くら寿司」を展開するくら寿司<2695> が12月7日に、2021年10月期決算を発表した。

増収増益という好調な結果を残したスシローに対し、くら寿司は増収ながらも営業赤字に陥った。両社の明暗を分けたのは販管費と一般管理費だった。

店舗運営などのコストが低いのはスシロー

スシローの2021年9月期は、4月に持ち帰りずしの京樽を子会社化したこともあり、売上高は17.5%の増収となった。利益は営業利益で89.9%の増益となり、税引き前利益、当期利益はいずれも約2倍に急増した。コロナ禍の中、商品開発や、安心、安全の取り組み、持ち帰り需要への対応などで厳しい状況を乗り切った。

一方、くら寿司の2021年10月期は、8.7%の増収となったものの、営業損益は26億7800万円の赤字に転落(前年度は3億5000万円の黒字)した。経常、当期は新型コロナウイルス関連の助成金の計上などがあり黒字を確保した。

両社の損益計算書を見てみると、すしネタなどの仕入れ費用などからなる売上原価が売上高に占める割合(売上原価率)はほとんど変わらず、スシローが45.9%、くら寿司が45.3%で、強いて言えば、くら寿司の方が儲ける力はあった。

差がついたの販売費と一般管理費。販売費はすしの販売やサービスの提供などに関する経費で、販売員の給与、広告費、発送費、配達費、保管費などが含まれる。一般管理費は、販売と直接関係のない経費で、販売員以外の人件費、家賃、水道光熱費などが含まれる。

スシローの販売費と一般管理費が売上高に占める割合が48.0%だったのに対し、くら寿司は56.6%に達した。この差が本業の儲けを示す営業損益の明暗を分けた。

このことは、どちらもすしネタの仕入れコストに差はないものの、店舗運営などのコストはスシローの方が低かったということになる。

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2022年に両社の差は縮まる予想だが…

2022年の業績見通しについては、スシローは増収減益、くら寿司は増収黒字転換を見込む。スシローが仕入れ価格を引き上げ、原価率を50%に引き上げる方針を打ち出しているほか、両社ともに新型コロナウイルスの感染状況や、助成金の動向などを踏まえて予想数値を出した。

コロナ禍の影響が軽減されることが見込まれる2022年は、両社の差が縮まるとの予想だが、果たして思惑通りの結果となるだろうか。変異株の感染拡大が続いているだけに、予断を許さない。

【FOOD & LIFE COMPANIESの業績推移】単位:億円、2022年9月期は予想

2020年9月期 2021年9月期 2022年9月期
売上高 2049.57 2408.04 3100
営業損益 120.61 229.01 210
税引き前利益 105.36 215.84 190
当期損益 64.57 131.85 120

【くら寿司の業績推移】単位:億円、2022年10月期は予想

2020年10月期 2021年10月期 2022年10月期
売上高 1358.35 1475.92 1888.69
営業損益 3.5 △26.78 28.27
経常損益 11.35 31.74 49.55
当期損益 △2.62 19.01 28.78

文:M&A Online編集部

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