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CASEを見越した再編が加速 2019年の自動車・部品業界
自動車および自動車部品業界の2019年は次世代技術の「CASE」をにらんだ業界再編が本格化した1年だった。CASEとは「Connected」「Autonomous」「Shared&Services」「Electric」の頭文字を取ったもの。
新型コロナウイルスの影響を理由に、業績を下方修正する上場企業の増加スピードが落ちてきた。信用調査会社の帝国データバンクが3月3日からほぼ1週間ごとに行ってきた調査によると、2020年5月6日までに業績予想の下方修正を発表した企業は375社で、下方修正により消失した売上高の合計は3兆999億円に達した。
4月28日までに業績の下方修正を発表した企業は326社で、消失した売上高は2兆9089億円だったため、この間に発表企業は49社増え、消失した売上高は1909億円増えたことになる。
一方、4月28日までの調査では、その前の4月22日までの調査に比べ下方修正した企業は67社増え、消失した売上高は7772億円増加しており、今回の調査では発表企業数、消失売上高ともに伸び率は大きく鈍化した。
消失した売上高の増加額が2000億円を切るのは3月17日調査の消失売上高増加額910億円以来、7調査(約7週間)ぶり。
今回調査の期間は4月29日から5月6日までで、調査期間がゴールデンウイークに当たったことや、上場企業の多くが3月期決算でありほぼ数字が固まりつつあるため、下方修正を発表する企業が抑えられたものと思われる。
このまま業績下方修正企業は減少するのか、それともゴールデンウイークの一時的な現象なのか。次回調査が注目される。
【新型コロナウイルスの影響で業績を下方修正した企業数と消失売上高】()内は前回調査との比較
調査日 | 企業数 | 消失売上高 |
5月6日 | 375社(+49社) | 3兆999億円(+1909億円) |
4月28日 | 326社(+67社) | 2兆9089億円(+7772億円) |
4月22日 | 259社(+42社) | 2兆1316億円(+3900億円) |
4月15日 | 217社(+56社) | 1兆7416億円(+3316億円) |
4月8日 | 161社(+20社) | 1兆4100億円(+2227億円) |
4月1日 | 141社(+30社) | 1兆1873億円(+4188億円) |
3月25日 | 111社(+32社) | 7684億円(+2131億円) |
3月17日 | 79社(+15社) | 5553億円(+910億円) |
3月11日 | 64社(+14社) | 4643億円(+578億円) |
3月3日 | 50社 | 4064億円 |
今回調査で売上高を100億円以上引き下げたのはアイシン精機<7259>、セイコーエプソン<6724>、エディオン <2730>、京王電鉄<9008>の4社だった。
アイシン精機は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中国を中心に世界各地域で販売が減少したことを理由に、2020年3月期の売上高予想を554億1400万円引き下げ、3兆8400億円とした。セイコーエプソンも新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年3月期の売上高を163億9900万円引き下げ、1兆436億円とした。
エディオンは消費税率引き上げによる駆け込み需要の反動や、暖冬によるエアコンを中心とした季節家電商品の伸び悩みに加え、新型コロナの影響により2020年3月期の売上高予想を170億円引き下げ7330億円とした。
京王電鉄も3月以降、訪日外国人旅行客が急激に減少したほか、外出自粛により国内個人消費が低迷したことで、2020年3月期の売上高予想を144億3000万円引き下げ、4336億6900万円にした。
社名 | アイシン精機 | セイコーエプソン | エディオン | 京王電鉄 |
前回予想 | 3兆8400億円 | 1兆600億円 | 7500億円 | 4481億円 |
今回予想 | 3兆7845億8500万円 | 1兆436億円 | 7330億円 | 4336億6900万円 |
増減額 | △554億1400万円 | △163億9900万円 | △170億円 | △144億3000万円 |
文:M&A Online編集部
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自動車および自動車部品業界の2019年は次世代技術の「CASE」をにらんだ業界再編が本格化した1年だった。CASEとは「Connected」「Autonomous」「Shared&Services」「Electric」の頭文字を取ったもの。