文部科学省は2020年6月4日に、全国の教育委員会などに対し児童や生徒がいる空間で次亜塩素酸水の噴霧を行わないよう通達した。新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の有効性や安全性が明確になっているとは言えないというのがその理由だ。

経済産業省の要請によって消毒方法の有効性評価を行っている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は5月29日に、新型コロナウイルスに有効な界面活性剤などを公表した際に、次亜塩素酸水については「引き続き検証試験を実施する」とし、有効であるとの判断を示さなかった。これを受け次亜塩素酸水の効果を疑問視する動きが広まっていた。

さらに、世界保健機関(WHO)が「消毒剤を人体に噴霧することを推奨しない」としていることなどを踏まえ、今回、文部科学省がこうした措置に踏み切ったとみられる。

北大のデータでは効果あり

一方、経済産業省は6月2日に、次亜塩素酸水の新型コロナウイルスに対する効果について、よくある問い合わせとしていくつかの文章をホームページに掲載した。その中で「次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに効果がないのですか?」との質問に、「新型コロナウイルスに対して一定の効果を示すデータも出ているが、検証試験が継続中であり、まだ結論が出ていない」とし、効果がないとはしなかった。

さらに「5月29日時点で有効性評価を行う上で十分なデータが集まっていなかったことから、引き続き検証試験を実施することになった。今後、早期に結論を得ることを目標に検証作業を続ける」と加えた。

NITEも6月4日に同じ内容の文章をホームページに掲載するとともに、6月中に有効性の評価結果の追加公表を行う予定であることを明らかにした。

これまで次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに対して効果があるとしていたのを否定するような流れとなっていることに対し、次亜塩素酸水を取り扱う企業などから反発の声が上がっており、これら動きと並行して北海道大学の研究グループは6月1日に、次亜塩素酸水によって新型コロナウイルスが不活化したとするデータを公表した。

次亜塩素酸水は塩酸や食塩水を電気分解して得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液で、食品添加物としての使用が認められており、黄色ブドウ球菌やO-157などに対する殺菌効果やインフルエンザウイルスやノロウイルスなどの不活化効果が知られている。

6月中に行われる予定の有効性の評価結果の追加公表で、次亜塩素酸水の新型コロナウイルスに対する不活化効果が認められる可能性は低くはなさそうだ。

文:M&A Online編集部