安倍晋三首相は2020年5月25日に緊急事態宣言の全面解除を発表した。今後、さまざまな分野で要請してきた自粛を徐々に緩和していくという。同時に新型コロナウイルスがなくなったわけでなく、まだ油断できないとし、新たな日常生活を求めた。
その中にはマスクの着用や手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの確保など、緊急事態宣言中に実施してきた取り組みも含まれる。こうした動きを先取りしたともいえるポストコロナ時代の新型マスクを巡る動きが活発化している。
ヨネックス<7906>は気温の高い夏場でも爽やかにスポーツを楽しめる「スポーツフェイスマスク」を7月上旬に発売する。
汗に反応して熱を吸収する植物由来キシリトールを生地に配合した涼感素材を用いたほか、生地に吸汗速乾ニットテフロンメッシュを使用するなど暑さ対策を施した。
このほかにも抗菌加工で匂いにくく、鼻部分の形にフィットしやすく、洗濯して繰り返し使用することができるなどの特徴を持たせた。
涼感素材はこれまで同社のスポーツウエアに幅広く採用されており、バトミントン日本代表チームやスイスのプロテニスプレーヤーのスタン・ワウリンカ選手らが着用しているという。
セミオーダーパンプスメーカーである神戸洋靴店(神戸市)が、立体縫製などの靴の生産ノウハウを生かした、触るとひんやりする素材を用いた洗濯できるマスクを発売した。
顔に合せた立体的な形としたため唇が布につきにくく、眼鏡も曇りにくいほか、顔に触れる内側の素材は靴にも使用されている肌触りが良く、汗を吸ってもすぐに乾き、触るとひんやりする素材を使用した。
マスク不足の解消の一端を担えればとの思いで開発したが、すぐに生産量を増やすことが難しいため営利利用可能な型紙を無償で提供するという。
同じ神戸でカジュアルシューズを販売するベル(神戸市)もスポーツのユニフォームに使われ、さらさらでひんやりとした肌ざわりが特徴のポリエステルを使ったマスクを発売した。
抗菌効果を持たせるとともに嫌なベタつきを抑えるタイプと、シルクのようなやさしい肌ざわりのタイプの2種で、マスクの効果を高めるフィルター用ポケットをつけ、立体的な縫製と柔らかい生地で顔のカーブにフィットするように仕上げた。
紐の部分に靴作りの知識を生かし、やわらかいスエード生地を伸縮性の出る切り方(バイアスカット)にし、とめ結びをすることで自由に長さを調節できるようにした。
Tシャツを中心とした衣料品や雑貨などを手がけるチャンネルアッシュ(金沢市)も、涼しいつけ心地や、抗菌による不快な臭いの抑制、耳が痛くなりにくい機能などを備えたマスクを6月上旬に発売する。スポーツでも着用可能で、100回の洗濯でも抗菌効果が持続するという。
アパレル業界ではファーストリテイリング<9983>が展開するユニクロが、通気性の高い素材で蒸れにくくしたマスクを今夏にも販売することが報じられている。
店頭から姿を消していたマスクは最近、品不足が解消され、スーパーのレジ前ワゴンなどでも見かけるようになってきた。品薄時にはどのようなタイプのマスクでも飛ぶように売れていたが、緊急事態宣言が全面解除されたポストコロナでは、機能性やファッション性に優れたマスクに関心が移りそうだ。
文:M&A Online編集部
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