空前のカネ余りが追い風に

 村上氏本人を含む旧村上ファンド勢力の活動がマスメディアで大きく取り上げられて存在感を増したことで、彼らのファンドに大量の資金が流れ込むことになるだろう。2017年後半以降の東芝、黒田電気、東栄リーファーラインでの相次ぐ成功事例も、新たな資金の「呼び水」となる。村上氏がシンガポールに拠点を置いていることから、アジアからの資金を集めやすいはずだ。ビットコインなどの仮想通貨規制や日本の都心タワーマンションの価格下落などで行き場を失った中国マネーの受け皿になるかもしれない。

 なにより日本国内がカネ余りの状況だ。アベノミクスによる日本銀行の「異次元緩和」で、金融機関はダブついたマネーの運用に困っているのが実情という。最近では金融機関が資金運用先としてM&Aに注目している。M&Aのノウハウに乏しい金融機関が、辣腕を振るう旧村上ファンド系のM&Aに乗っかって運用することも考えられる。豊富な資金をバックに旧村上ファンド勢力主導による超大型案件が飛び出す可能性は極めて高いと言えよう。

マンション不況
中国マネーもタワーマンションからファンドへ移る

 とはいえ、それが運用として「正解」かどうかは分からない。第一に旧村上ファンド勢力は証券取引等監視委員会はじめ政府当局から厳しく監視されており、少しでも問題があれば捜査当局の介入を受ける状況だ。万一、違法行為があった場合は旧村上系のファンドに資金提供をした金融機関などの企業がコンプライアンス上の責任を問われかねない。未上場企業はともかく、上場企業にとっては気になるところだ。

 さらに「異次元緩和」の限界が指摘されており、日銀が「緩和」から「引き締め」に政策転向した場合、投資家が旧村上ファンド勢力はじめ投資ファンドから一斉に資金を引き上げる「バブル崩壊」の危険性もある。このところ連戦連勝の旧村上ファンド勢力だが、彼らに「乗っかる」のであれば十分にリスクを確認しておきたい。

文:M&A Online編集部