【7月M&Aサマリー】夏枯れモード…今年最少の57件、金額1000億円を大きく下回る

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ミネベアミツミの東京本部(東京・三田)

2022年7月のM&A件数(適時開示ベース)は57件と前年同月を5件下回った。月間件数は今年最も少なく、7月としても2016年(52件)以来の低水準だった。これまで好調だった国内案件がやや鈍化し、海外案件も伸び悩んだ。1~7月合計では前年比7件増の515件とプラス圏を維持している。

取引金額は623億円(公表分を集計)。月間1000億円を下回るのは今年初めてで、案件規模の面でも“夏枯れ”の様相を呈した。金額トップはミネベアミツミがTOB(株式公開買い付け)でコネクター製造の本多通信工業を子会社化する案件で、約162億円を投じる。

7月、3年連続で1000億円を下回る

上場企業の適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

7月のM&A57件の内訳は買収49件、売却8件(買収側、売却側の双方が発表したケースは買収側でカウント)。このうち海外案件は8件で、日本企業が買い手となるアウトバウンド取引が7件、外国企業が買い手となるインバウンド取引が1件だった。

1~7月合計の海外案件は前年比14件減の80件で、コロナ前の2019年と比べると27件少ない。主因はアウトバウンド取引の落ち込み。1~7月のアウトバウンド取引は45件と前年を10件下回る(インバウンド取引は4件減の35件)。ウクライナ危機の長期化、記録的な円安などに伴う不確実性の高まりが背景にあるとみられる。

7月の取引金額は623億円と3年連続で月間1000億円を下回り、この時期の落ち込みが今年も繰り返された形だ。100億円を超える大型案件は2件にとどまった。1~7月合計は3兆1691億円で、前年(5兆4430億円)と2兆円以上の開きがある。

ミネベアミツミ、コネクター事業強化

金額トップはミネベアミツミのTOB案件。本多通信工業の完全子会社化を目指す内容で、買付代金は最大162億円。ミネベアミツミはボールベアリング、モーター、センサー、半導体などに続く中核事業の一つにコネクターを位置付けており、この分野の専業メーカーを取り込む。本多通信の筆頭株主で21%余りの株式を持つパナソニックホールディングスはTOBへの応募を決めている。

併せて、ミネベアミツミは住友金属鉱山傘下でコネクター製造の住鉱テック(横浜市)を子会社化することを発表した。

メイコーは112億円を投じて、NEC傘下で電子機器製造受託サービス(EMS)を手がけるNECエンベデッドプロダクツ(山形県米沢市)を子会社化する。メイコーは電子回路基板を主力分野とするが、2022年度にスタートした中期経営5カ年計画でEMS事業を経営の柱に育てる方針を打ち出しており、早速、手を打った格好だ。

森永乳業、パキスタンで攻勢へ

海外案件で目を引いたのは森永乳業。パキスタンで育児用粉ミルクを製造する合弁会社「ニュートリコ・モリナガ」(カラチ)の株式を追加取得し、子会社化する。取得金額は約77億円で、現在17.73%の持ち株比率を51%に引き上げる。パキスタンは核保有や、隣国インドとの緊張関係などが取りざたされることが多いが、世界5位の人口を抱える有望市場。森永は同国での40年を超える事業実績を踏まえ、攻勢に出る。

森永乳業は1978年にパキスタン向けに育児用粉ミルクの輸出を開始し、「モリナガ」ブランドが浸透している。2017年には合弁会社を設立し、現地生産に乗り出した。

自動車エンジン部品2位のリケンと3位の日本ピストンリングは2023年4月に経営統合することで基本合意した。共同持ち株会社「リケンNPR」を設立し、リケンと日本ピストンリングを事業子会社として傘下に置く。

EV(電気自動車)へのシフトが加速し、エンジン部品の需要減が見込まれる。こうした中、エンジン部品を中心とする既存事業の収益力を強化するとともに、船舶や水素、新エネルギー、医療などの領域で新たなコア(中核)事業の創出を目指す。

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2022/07/05

2022年6月のM&A件数(適時開示ベース)は73件と前年同月を22件上回り、過去10年で最多となった。6月は上場企業の株主総会の集中月。例年、M&Aを手控える傾向があり、1年を通じて最も件数が少ないが、今年は1月(64件)、4月(70件)をすでに超えており、これまでのパターンが崩れた格好だ。

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