日本M&Aレビュー 2021年|フィナンシャル・アドバイザー
日本関連のM&A 13%減少の21兆円 案件数 過去最多
2021年の日本企業が関与するM&A公表案件は21.1兆円と、前年比13.3%減少し、2017年以来の低水準となった。1,000億円超の案件は45件が公表され、前年から73.1%増えたものの、総額は13.1兆円と金額ベースで22.5%減少した。日本市場全体の案件数は4,963件に達し、過去最多となった。
ハイテクノロジーが首位
業種別で見ると、最も買収の対象となったのはハイテクノロジーで、前年比23.1%減少の5.2兆円、全体の24.4%を占めた。2位は金融で前年比166.1%増加の3.9兆円、3位は工業の2.5兆円となった。
IN-OUT案件 7.6兆円 OUT-IN案件 2兆円
IN-OUT案件は、総額7.6兆円と前年比16.6%の増加となったが、2019年以来の低水準となった。2021年最大の案件は、日立グローバルデジタル ホールディングスによるグローバルロジック ワールドワイド ホールディングスの買収案件(1兆592億円)。これにより、ハイテクノロジー関連の日本企業による対米出資額は前年比324.9%増の総額1.8兆円に達し、1980年の集計開始以来2位の規模となった。また、日本は海外企業の買収国としては世界で7位、中国は13位、上位3カ国は米国、カナダ、オーストラリアとなった。
OUT-IN案件は前年比177%増の総額2兆円で、2017年以来の高水準となった。海外ファンドが買い手となる買収は、前年から倍増の1.1兆円に達し、金額ベースで歴代2位の高水準となった。これには、OUT-INの最大案件となるベインキャピタルと日本産業パートナーズ、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズの3者で設立された「KK-BCJ-52」による日立金属買収案件(4,347億円)、CVCキャピタル・パートナーズ・アジアによるトライグループ買収案件(1,100億円)が含まれる。一方、案件数は3,844件に達し過去最多となった。
トップアドバイザーはゴールドマン・サックス
2021年日本関連公表案件ベースのM&Aリーグテーブルは、ゴールドマン・サックスが総額6兆円で、前年の4位から首位に立った。案件数ベースでは三井住友フィナンシャル・グループ が142件で4連覇となった。
順位 |
ランク日 | 被買収側企業 | 被国籍 | ランクバリュー(億円) | 買収側企業 | 買国籍 |
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1 | 2021年3月31日 | グローバルロジック ワールドワイド ホールディングス | 米国 | 10,592.6 | 日立グローバルデジタル ホールディングス | 日本 |
2 | 2021年9月21日 | MUFGユニオンバンク | 米国 | 10,501.4 | MUFGユニオンバンク | 米国 |
3 | 2021年9月21日 | MUFGユニオンバンク | 米国 | 8,719.2 | USバンコープ | 米国 |
4 | 2021年4月23日 | ブルーヨンダー・グループ | 米国 | 7,665.2 | パナソニック | 日本 |
5 | 2021年2月7日 | ダイアログ・セミコンダクター | 英国 | 5,980.0 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 |
6 | 2021年4月28日 | 日立金属 | 日本 | 4,780.2 | 日立金属 | 日本 |
7 | 2021年4月28日 | 日立金属 | 日本 | 4,347.7 | BCJ-52 | 米国 |
8 | 2021年3月31日 | テスラ | 米国 | 4,000.0 | (非開示の買い手) | 不明 |
9 | 2021年5月19日 | SBエナジー・ホールディングス | インド | 3,810.8 | アダニ・グリーン・エナジー | インド |
10 | 2021年5月14日 | かんぽ生命保険 | 日本 | 3,585.3 | かんぽ生命保険 | 日本 |
ランクバリューベース
順位 | フィナンシャル・アドバイザー | ランクバリュー(億円) |
---|---|---|
1 | 野村 | 17,769 |
2 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 17,739 |
3 | 三井住友フィナンシャルグループ | 11,410 |
4 | みずほフィナンシャルグループ | 11,385 |
5 | ゴールドマン・サックス | 11,189 |
案件数ベース
順位 | フィナンシャル・アドバイザー | 案件数(件) |
---|---|---|
1 | 三井住友フィナンシャルグループ | 123 |
2 | みずほフィナンシャルグループ | 98 |
3 | 野村 | 76 |
4 | KPMG | 59 |
5 | プル―タス・コンサルティング | 55 |
5 | デロイト | 55 |
出典:Refinitiv(リフィニティブ)
(注)公表案件ベースのリーグテーブル・ランキングは、リフィニティブが認識している2021年1月1日から2021年12月30日の期間に公表された案件を対象としており、今期および昨年の全てのデータは、日本時間2022年1月2日に抽出したものである。ランキングにおける取引金額はすべて日本円で表示され、不動産案件は除外している。リーグテーブル対象となるのは、合併、買収、市場を介さない自己株式取得、スピンオフ、公開買付による自社株買い、少数株主持ち分(50%以下)の株式取得、及びデット・リストラクチャリング案件である。公開買付・合併案件は、その案件が完了した日付をもって有効と見なす。取引金額のついてない場合も対象案件となり、その場合取引金額は表示されない。
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本記事は、Refinitiv(リフィニティブ)より許可をいただいて一部掲載しています。