ロンドン証券取引所グループ (London Stock Exchange Group, “LSEG”) 傘下のリフィニティブ(Refinitiv)は、日本の2022年上半期(1月1日~6月30日*)および第2四半期(4月1日~6月30日*)のM&A速報値を発表した。
日本企業が関与したM&Aは、今年に入ってから速報値ベースで約8兆1000億円に達し、2021年上半期比で金額ベースで21.9%減少した。
日本企業によるM&Aでは「工業」が金額ベースで最も多く、市場シェアの33.6%を占め、取引総額は約2兆7000億円(約220億ドル)、前年同期比133.3%増となった。発表件数が最も多かった「ハイテク」分野のシェアは28.5%、金額にして約2兆3000億円(約189億ドル)で、昨年上半期から38.3%減少した。
●2022年上半期日本M&A ターゲットセクター(資産買収を除く)、2022/1/1-6/21
内訳 | 市場シェア | 取引総額(円) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
工業(Industrials) | 33.6% |
2.7兆円 |
133.3% |
ハイテク(High Technology) | 28.5% |
2.3兆円 |
-38.3% |
金融(Financials) | 8.4% |
6,800億円 |
-15.4% |
エネルギー(Energy and Power) | 7.4% |
6,000億円 |
-8.8% |
一般消費財(Comsumer Staples) | 4.3% |
3,400億円 |
423.1% |
日本のアウトバウンド**買収額は約2兆1,000億円、2021年上半期比46.1%減となった。 米国による日本企業の買収案件は、2021年上半期比58.7%減の約9436億円(約79億米ドル)で、金額ベースで大半を占めた(市場シェア44.5%)。日本のアウトバウンド案件のうち、ハイテクは36.6%を占め、金額は2021年上半期から73.2%減少し、約7759億円(約65億米ドル)となった。
日本のインバウンド***買収額は約1兆3000億円(前年同期比34.3%増)となり、2007年(約2兆3000億円)以来の好調な上半期となった。日本のインバウンドM&A活動では、米国が金額、件数ともに最も活発な買収国であり、94.6%のシェアを獲得した。
国内企業同士による買収は約3兆2000億円(前年同期比10.7%減)、件数も2021年上半期16.3%減の1536件だった。
●2022年上半期日本M&A 国内・外取引(資産買収を除く)、2022/1/1-6/21
内訳 | 前年同期比(買収額・円換算) | 前年同期比(件数) |
---|---|---|
日本企業が関与したM&A(ALL) | -21.9% |
-16.0% |
アウトバウンド(IN-OUT) | -46.1% |
-14.8% |
インバウンド(OUT-IN) | 34.3% |
2.7% |
国内企業同士(IN-IN) | -10.7% |
-16.3% |
**アウトバウンド買収;日本企業が海外企業を買収(IN-OUT)
***インバウンド買収;海外企業が日本企業を買収(OUT-IN)
リフィニティブ エレーン・タン(シニア・アナリスト)/編集:M&A Online編集部
*データの抽出は日本時間2022年6月21日時点です。
2021年(2021年1月1日~12月27日)に上場企業が子会社や事業を売却した案件が過去10年で最多となった。コロナ禍よる景気低迷が要因の一つで、過去最多を更新するのは2年連続。