2022年1-6月の外食・フードサービス業界のM&Aは、件数、取引金額ともに低位に沈んだ。飲食業界はコロナ禍で、大打撃を受けており、M&Aによって事業を拡大する機運が萎んだようだ。
M&A Online編集部がM&Aデータベースで、同業界の2022年1-6月のM&A発表案件(適時開示ベース)を集計したところ、件数は7件(2013年、2021年は同数)で、1-6月としては2013年以降の10年間では、最低の6件だった2015年に迫る下から2番目に低迷した。
取引金額も1-6月としては2013年以降の10年間では、最低の2020年の1億5000万円に次ぐ下から2番目に終わった。1億円を超える案件が1件しかなく、7件中4件が金額非公表だったため膨らまなかった。
2022年1-6月の発表案件で金額が最も高かったのは、小僧寿し<9973>が、JFLAホールディングス<3069>傘下で、飲食店経営のアスラポート(東京都中央区)が会社分割して設立する同名の新会社アスラポート(新アスラポート、同)の全株式を取得することを決めた案件で、取得金額は5億1800万円。
アスラポートが運営する札幌ラーメン「どさん子」、薩摩料理「ぢどり亭」、ミルフィーユかつ専門店「キムカツ」などの261店舗(直営17、FC244)を引き継ぐ。
小僧寿しは、アスラポートの子会社化を機に、新業態開発を進めるほか、グループ内のFC(フランチャイズ)事業の展開を加速する。
金額の2番目は、ジェイグループホールディングス<3063>が、ハワイで飲食店を運営する100%子会社のNEWFIELD HONOLULU,INC(ホノルル)の全株式を譲渡した案件で、譲渡金額は3300万円。コロナ禍で業績が低迷していたため、売却に踏み切った。譲渡先は非公表。
金額の3番目は一家ホールディングス<7127>が、「肉のウヱキ」経営のEgo(千葉県市川市)の株式70%をDES(債務の株式化)により取得し、子会社化することを決めた案件で、取得金額は1900万円。Egoは一家HDの従業員が2021年4月に独立起業した会社で、子会社化に伴ってグループの事業構成を拡充する。
文:M&A Online編集部
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