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行動経済学的観点からみた「M&Aと株価」(下)東工大・井上光太郎教授インタビュー

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東京工業大学・工学院・経営工学系・井上光太郎教授

 株式市場の評価という視点から、1990年~2006年のM&Aのケーススタディと実証分析で検証した『M&Aと株価』(東洋経済新報社刊)の著者である東京工業大学工学院の井上光太郎教授に、日本の株式市場の特徴と同書出版後の研究についてお話を聞いた。(前回の記事はこちら)

3.M&Aの成功要因とは

--日本企業の具体的な成功例をお聞かせいただけますか。

井上教授:海外ではM&Aと同時に、余計な資産を売却するなど相当なリストラをするのが通常です。たとえば、スイスのネスレは2000年代に100件の大型M&Aをする一方で、100件の大型事業や子会社の売却をしてキャッシュを創出し続けているわけです。

 これと対照的な日本企業の体質である「リスク回避的な特性」については前回お話ししたとおりですが、例外的なのはソフトバンク<9984>のスプリント買収でしょう。過去5年間ずっと営業赤字の会社でしたが、買収後に一挙に孫正義さんがリストラを進め、赤字体質を改善しました。

 しかしこれは通常にはないやり方で、多くの日本企業は「買われた会社の気持ちことを考える」とか言って、具体的な施策を実行しない。そんなことを考えるくらいならM&Aをしない方がいいのではないかという例もあります。

 もちろん、買われた企業の従業員にとってもプラスとなる状況を創出したい、というのが理想です。しかし、「相手のことを考える」を言い訳にして、問題を先送りにしているだけのケースが多く見られます。そういう現実と向き合いながら、やるべきことをやっているのがソフトバンクであり、JT<2914>です。M&A巧者のGE(ゼネラル・エレクトリック)は「買収後の最初の100日以内」などと期限を決めているように、必要なリストラはきちんと実行しています。

 M&Aを成功に導くには、トップマネジメントのコミットメントが必要です。日本の経営者の大半は、そういうドラスティックな変革判断を望ましくないと思っている節があります。しかし、M&Aというのはそれをやることができる企業の特権だと私は思います。

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