上場企業の間で人員削減の動きが強まっている。7月に入り、TATERU、キョウデン、富士通フロンテックの3社がすでに早期(希望)退職者の募集を発表した。早期退職者募集は上期(1~6月)だけで12社に上り、昨年1年間にほぼ並んだが、下期(7~12月)はその勢いがさらに増すことが予想される。

こうした中、日産自動車は7月25日、世界全体で生産能力の1割縮小と1万2500人の人員削減を進める事業構造改革を発表した。人員削減規模は5月に発表時(約4800人)の2倍以上に拡大した。国内従業員の一部については早期退職優遇制度を活用するとみられる。

TATERU、グループ従業員の3分の1を削減

アパート施工・管理のTATERUは7月5日、160人程度の早期退職者を募集すると発表した。人員は160人程度で、グループ従業員の3分の1強にあたる。募集期間は7月8日~31日(退職日は10月末)。固定費を大幅に圧縮し、縮小均衡による経営立て直しを目指す。

同社は投資不動産に関する顧客の融資書類の改ざん問題などで業績が急速に悪化し、2019年12月期は100億円の最終赤字への転落を見込む。7月半ばには国土交通省から宅地建物取引業法に基づく1週間の業務停止命令を受けた。応募者には加算金を加えた特別退職金を支給する。

キョウデンは主力のプリント配線板事業を取り巻く国内環境の悪化を受けた事業構造改革の一環として、希望退職者の募集に踏み切る。12月末で生産停止する横浜事業所(横浜市)在籍の社員を対象とする。7月29日から8月9日まで募集するが、人数は特に定めていない。

富士通フロンテックは早期退職優遇制度を活用して100人程度の人員削減を打ち出した。人的資源の適正配置策の一環としている。同社はATM(現金自動預け払い機)やPOS(販売時点情報管理)端末などを主力とするが、成長領域への人員シフトを推し進める狙いだ。

JDIは200人積み増して1200人を募集

7月29日から1200人の早期退職者を募集(~8月27日)するのは、中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)。同社は5月時点で1000人規模としていたが、6月半ばに200人を積み増した。

募集対象は40歳以上の社員だが、生産調整のために稼働停止中の白山工場(石川県)、茂原工場(千葉県茂原市)後工程ラインなどに勤務する社員については年齢の制限を設けていない。

同社は主力のスマートフォン向け小型液晶ディスプレーの販売不振で5年連続の最終赤字。今後、台湾・中国企業連合の傘下で生き残りを目指している。

日産、削減規模を当初予定の2.5倍に

一方、ゴーンショックの後遺症に揺れる日産自動車。同社が25日発表した2019年4~6月期の営業利益は前年同期比98.5%減の16億円に落ち込んだ。北米や欧州の販売不振で、世界規模での生産能力余剰が一層浮き彫りになった。

2020年度までに全世界で1万2500人の人員削減を発表した日産自動車

これに伴い、日産は人員削減規模を5月時点で公表した4800人から今回、グループ従業員の約1割にあたる1万2500人に拡大した。2020年度までに削減するが、期間従業員のほか国内の一部は早期退職者の募集が考えられている。

◎2019年に入り、早期(希望)退職者募集を発表した企業

発表月社名募集規模と応募人数
7月
TATERU160人程度(7月8~31日)
キョウデン定めず(7月29日~8月9日)
富士通フロンテック100人程度
6月

ジャパンディスプレイ1200人(7月29日~8月27日)
5月
Aiming40人程度→51人応募
東芝約350人(システムLSI事業子会社の東芝デバイス&ストレージで。9月末に退職予定)
4月
中外製薬定めず→172人応募
3月
メガチップス40人程度→42人応募
2月
協和発酵キリン定めず→296人
鳥居薬品定めず→281人応募
ルネサスエレクトロニクス900人程度(推定)
コカ・コーラボトラーズジャパンHD700人程度→950人応募
1月
アルペン300人程度→355人応募
光村印刷30人程度→子会社の新村印刷で実施済み
カシオ計算機定めず→156人応募

文:M&A Online編集部