「守り」と「我慢」の3年

2つの新規事業の共通点は、女性をターゲットにしていること。ブライダル事業で獲得した顧客は、通販事業の新規顧客になりうる。化粧品は長期的な継続購入の比率が高く、通販事業の商材に適しているという。千趣会は女性という従来の顧客層を深耕する新規事業を選んだのである。

一方で、従来の通販は苦戦が続く。通販事業のテコ入れ策として2015年に大手百貨店J.フロント リテイリングの持分法適用関連会社となり、通販とリアル店舗販売を両立するオムニチャンネル化を狙った。2017年にはJ. フロント リテイリングの連結子会社で通信販売業を営むJFRオンラインの全事業を、千趣会の100%子会社・フィールライフを通じて買収している。

オムニチャネル販売を前提とした百貨店での千趣会との共同ブランドの展開や、百貨店のネット通販事業での千趣会の物流網の活用、両社のノウハウを活かしたギフトカタログの開発などに取り組んだ。千趣会の商品を百貨店で販売するなどの成果はあったが、百貨店の商品をECに落とし込む取り組みには至らなかった。

加えて千趣会の業績悪化で、REVIC パートナーズが無限責任組合員として運営管理する地域中核企業活性化投資事業有限責任組合に優先株を発行。その結果、千趣会はJ. フロント リテイリングの持分法適用関連会社から外れ、両社の資本・業務提携は解消された。

千趣会は2020年12月期を最終年度とする中期経営計画に取り組んでいる。売上高は1290億円と横ばいながら、ベルメゾン事業での在庫削減や販売費削減、グループ全体の⼈件費、管理費カットにより、営業利益35億円を目指す。つまりは「守り」の経営戦略だ。

千趣会の中期経営計画は「守り」が主眼(同社発表資料より)

本格的な売上増を狙う「攻め」の戦略は2021年12月期以降になりそうだ。千趣会にとっては「我慢」の3年となる。次の飛躍ではブライダルや化粧品に次ぐ、新たなM&Aが飛び出すことになるだろう。