NTTデータ<9613>がM&Aによる海外展開を加速している。2016年以降の主なクロスボーダーは14件に達する。
持ち株会社であるNTTは海外事業を統括する中間持ち株会社を2018年秋に設立する。NTTデータはNTTコミュニケーションズなどとともにその傘下に入り、海外市場の攻略にグループ一体となって取り組むことになる。
NTTの澤田純社長は8月に行った第1四半期決算の発表の席上で「2兆2000億円に達した海外事業の収益力を一段と高めていく」と発言しており、NTTデータが果たすべき役割は大きそうだ。
3000億円を超えるM&Aも
NTTデータは1967年に日本電信電話公社内に設置されたデータ通信本部がもともとの組織。1985年に日本電信電話公社が民営化され日本電信電話(NTT)が発足した3年後の1988年にNTTデータ通信として独立。1998年にNTTデータに社名を変更した。
同社では1967年から1987年までを源流期と位置づけており、社会インフラや電子計算機にかかわる事業を展開した。
その後の1988年から2004年までを変革と挑戦期とし、公共、金融、産業など分野別のシステム開発によって新たな市場を創出。ICカードなどの技術を日本で先駆けて導入した。
2005年からはグローバル戦略期としており、2005年に実施した米国SI企業Revere社の子会社化を皮切りに、2015年の米国金融ITコンサルティング企業Carlisele&Gallagher Consulting Group,Inc.の子会社化まで10件ほどのM&Aを実施した。
その後2016年には北米事業子会社の統括を行う米国のNTT Data International社がクラウドサービスやアプリケーション関連サービス、ビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)サービスなどを手がけているDell Services部門の子会社3社を子会社化するとともに、ITサービス関連事業を譲り受けた。
株式取得価格と事業譲り受け価格の総額は30億5500万ドル(当時の価格は約3465億円)で、最先端の技術を活用したサービスの強化を目指すという。
2016年以降のこのほかのM&Aはどうだろうか。
年 | NTTデータの沿革と主なM&A |
---|---|
1967 | 日本電信電話公社データ通信本部設置 |
1985 | 日本電信電話発足 |
1988 | NTTデータ通信発足 |
1998 | NTTデータに社名変更 |
2005 | 米国SI企業Revereを子会社化 |
2007 | インドVertex Softwareの株式取得 |
2008 | TOBでドイツのitelligenceを子会社化 |
2008 | 情報システム子会社Cirquentの経営権譲受を通じ、BMWと資本提携 |
2009 | オーストラリアExtend Technologies Group Holdings Pty Ltdと資本提携 |
2010 | TOBで米国のIntelligroup, Incを子会社化 |
2011 | 米国ITサービス企業Keane International, Inc.を子会社化 |
2011 | イタリアValue Team S.p.A.を子会社化 |
2014 | スペインeveris groupを子会社化 |
2015 | 独ダイムラー社がNTTデータをグローバルITパートナーとして採用 |
2016 | ドイツ子会社のitelligenceがドイツITMLを買収 |
2016 | Dell Inc.の3子会社の買収とITサービス関連事業の譲受け |
2016 | ドイツ子会社のitelligenceがドイツBITグループを買収 |
2016 | ベトナムVietUnionを子会社化 |
2016 | 英国子会社のNTT DATA EMEAがスイスNefosを買収 |
2016 | シャープビジネスコンピューターソフトウェアを子会社化 |
2017 | インドネシアPT.Abyor.Internationalを子会社化 |
2017 | ニューソンを子会社化 |
2017 | ドイツ子会社のitelligenceがオランダGoldfish ICTグループを買収 |
2017 | ドイツ子会社のitelligenceがインドvCentricTechnologiesを買収 |
2018 | ドイツ子会社のitelligenceがスェーデンのEINS Consultingを買収 |
2018 | 英国子会社のNTT DATA EMEAが英国のMagenTysを買収 |
2018 | 英国子会社のNTT DATA EMEAがドイツgen-iusを買収 |
2018 | ドイツ子会社のitelligenceがドイツSybitを買収 |