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【学研ホールディングス】出版社としてスタートし、教育分野で攻めのM&Aを展開
創業者である古岡秀人の「戦後の復興は教育をおいてほかにない」との強い信念のもと設立された学研ホールディングス。 「教育」を基軸して、多岐にわたる出版事業を展開するほか、塾事業、教材・教具の制作・販え、保育園の運営や高齢者住宅、介護サービス等、医療福祉分野にも事業を展開している。学研社及び子会社45社、関連会社4社で構成された巨大な企業群は、今後どのような絵をM&Aにより描いていくのか。
学研ホールディングス<9470>は学習教室・進学塾、参考書、児童書など教育事業のリーディングカンパニーとして知られるが、同社にはもう一つの顔がある。「医療福祉」事業の担い手として近年、急速に存在感を高めている。高齢者福祉と子育て支援を両輪に事業を展開し、今や全売上高の4分の1近くを占めるまでに成長。この9月にはグループホーム最大手のメディカル・ケア・サービス(さいたま市)を約90億円で買収し、攻勢を一段と強めている。
学研HDが事業分野とするのは教育と医療福祉。セグメント(部門)としては次の4つからなる。学習教室・進学塾などの「教育サービス事業」、児童書、参考書・辞書、電子出版などの「教育コンテンツ事業」、教科書・教科書指導書、幼稚園・保育所向けの備品用品などの「教育ソリューション事業」、そして今回スポットをあてる「医療福祉サービス事業」だ。
現在集計中の2018年9月期決算の業績は売上高1070億円(4.7%増)、営業利益36億円(6.4%増)を見込む。持ち株会社制移行による学研HD発足後9期連続増収、営業利益は4期連続の増益となる。業績の足どりは好調に見えるが、実は1年前の前回決算で15期ぶりに売上高1000億円、営業利益30億円超のレベルに復帰を遂げたばかり。
学研は2000年代に入って長らく業績停滞に苦しんできた。デフレの長期化に加え、インターネットの台頭による顧客ニーズの多様化や少子化、出版離れなどが直撃し、2010年には創業以来の看板雑誌である『学習』と『科学』が相次いで休刊した。この頃、売上高は800億円を割り込み、20億円を超える営業赤字に沈んでいたのだ。
同社が創業以来、主力市場としてきた年少人口(15歳未満)は少子化に伴い減少が続いている。国内の教育市場が縮小に向かう中で、新たなターゲットに定めたのが医療福祉分野だ。2004年、ココファン(現学研ココファンホールディングス)を設立し、高齢者介護ビジネスに名乗りをあげた。
〇セグメント別の業績 (単位は億円)
17/9期 | 18/9期(予想) | |
---|---|---|
売上高 | 1021 | 1070 |
<教育分野> | 777 | 798 |
・教育サービス事業 | 287 | 303 |
・教育コンテンツ事業 | 311 | 315 |
・教育ソリューション事業 | 178 | 180 |
<医療福祉分野=医療福祉サービス事業> | 214 | 242 |
<その他・調整額含む> | 29 | 30 |
営業利益 | 33 | 36 |
創業者である古岡秀人の「戦後の復興は教育をおいてほかにない」との強い信念のもと設立された学研ホールディングス。 「教育」を基軸して、多岐にわたる出版事業を展開するほか、塾事業、教材・教具の制作・販え、保育園の運営や高齢者住宅、介護サービス等、医療福祉分野にも事業を展開している。学研社及び子会社45社、関連会社4社で構成された巨大な企業群は、今後どのような絵をM&Aにより描いていくのか。