日本郵船<9101>が意図せざる試練に直面している。商船三井、川崎汽船との3社による定期コンテナ船事業の統合会社「ONE」が4月に衆目を集めて船出した。ところが、コンテナ船事業終了に伴う一時費用が当初想定を大きく上回ったことに加え、子会社の日本貨物航空(NCA)で整備記録の虚偽記載問題が発覚して運航停止に陥り、今期(2019年3月期)業績は早くも大幅な下方修正に追い込まれた。

とりわけ、NCAは今期中の全面的な運航再開が難しいとみられ、海・陸・空を結ぶ「総合物流企業」を目指す同社にとって手痛い失点だ。ピンチを乗り越えて、成長軌道にどう復帰するのか。

コンテナ船の統合会社「ONE」 始動、世界を追撃へ

「ONE」―。日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテナ船事業の統合で生まれたオーシャンネットワークエクスプレスの略称だ。3社が定期部門の大部分を占めるコンテナ船事業を切り出し、新会社に一本化したもので、世界における“ニッポン海運”復活への期待を背負い、今年4月に営業をスタートした。

新会社は運航隻数約230隻、輸送能力144万TEU(20フィートコンテナの積載可能個数)を持ち、コンテナ船事業で世界シェアの約7%、第6位に浮上した。コンテナ船業界では近年、統合が相次いだ。首位のマークスライン(デンマーク)をはじめ、MSC(スイス)、CMACGM(フランス)、中国遠洋運輸集団(COSCO)の上位4社は10%以上のシェアを持ち、新生ONEにとって世界との開きはなお大きいが、追撃の体制は整った。

コンテナ船:日本郵船HPから

コンテナ船事業統合という“英断”に向かわせたのは2015年から2016年にかけての歴史的な海運市況の停滞だ。中国経済の不透明感の広がりなど世界経済の減速で荷動きがスローダウンする中、船舶の余剰感が高まり、運賃が急落した。

日本郵船は2017年3月期に2657億円に上る最終赤字に転落。商船三井、川崎汽船もしかりで、邦船3社の最終赤字は17年3月期までの2年間で累計6200億円の最終赤字を記録した。2016年8月には当時世界第7位の韓進海運(韓国)が経営破綻した。

「将来は親会社をしのぐ存在に」期待は膨らむ

そうした中、邦船3社は2016年10月に、コンテナ船事業(海外ターミナル事業を含む)の統合を発表した。2017年7月に新会社「ONE」を日本郵船38%、商船三井、川崎汽船各31%を出資して設立した。持ち株会社を東京に置き、中核となる事業会社の本社をシンガポールに設けた。

海運事業は定期船と不定期船に大別される。不定期船には鉄鉱石や石炭、穀物などのばら積みの乾貨物を運ぶバルク船、自動車船、原油タンカー、天然ガスのLNG船などがある。定期船はほとんどがコンテナ化され、世界の主要港湾を結ぶ。

ONEの寄港地は100カ国・地域、200以上に及ぶ。統合による効率化やスケールメリットを生かし、年1100億円のコスト改善を目標に掲げている。「将来は親会社をしのぐような存在になってほしい」(内藤忠顕・日本郵船社長)の声に代表されるように、親元3社の期待はひと際大きい。