第一生命ホールディングス(HD)<8750>が生命保険事業の海外展開にアクセルを踏み込んでいる。少子高齢化で国内需要が縮小する中で、新たな成長シナリオとして描いたのがM&A戦略を軸とするグローバル化。2000年代半ば以降、米国やベトナム、豪州で有力生保を次々に傘下に収めた。日本、北米、アジア・パシフィックでの3極体制をいち早く構築し、資産運用(アセットマネジメント)分野を含めて海外での事業を急拡大中だ。

豪でトップ生保の座を固める

第一生命HDは8月初め、第1四半期(4~6月)決算の発表に合わせ、新たな海外M&Aを発表した。豪州の金融大手グループ、サンコープ・グループの生命保険子会社である「サンコープ・ライフ」を約520億円で買収するというものだ。同社は豪生保業界8位で、保険料等収入は約660億円。2019年2月までに買収を完了させる。

実は、第一生命HDは豪生保業界ですでにトップクラス。それは2008年に3割弱出資した後、2011年に1000億円近くを投じて完全子会社化したTALグループの存在だ。TALは保障性商品の保険料収入で5年連続業界1位のシェアをキープする。今回のサンコープ・ライフはTALを通じて傘下に収めるもので、同国での事業基盤をより強固にする。

豪の生保市場は日本の6分の1程度だが、経済成長や人口増加を背景に好調に伸び、ここ数年、日系保険会社の事業展開が活発化している。日本生命は2016年、ナショナルオーストラリア銀行グループの生保会社MLCライフインシュアランスの株式80%を約1800億円で取得した。2017年には損保大手、MS&ADインシュアランスグループホールディング<8725>が中堅生保のチャレンジャーに6.3%出資。出資額は約440億円に上る。2018年に入ると、T&Dホールディング<8795>傘下の大同生命保険が新興生保のインテグリティに14.9%出資した。

このうち日本生命が買収したMLCは業界4~5番手だが、日本生命グループ入りを弾みに将来、同国首位の座を狙う。豪に舞台を移し、国内1位の日本生命と同2位の第一生命HDがしのぎを削っている。第一生命HDはTAL、サンコープ・ライフの二枚看板で日本生命勢を突き放す構えのようだ。

米では2015年、プロテクティブを5800億円で買収

世界最大の生保市場である米国。豪以上に日系生保の激戦地だが、ここでも第一生命HDが頭一つ抜き出ている。2015年2月に中堅生保のプロテクティブ(アラバマ州)を約5800億円で買収した。当時、日本の保険会社による海外M&Aとしては過去最大だった。

1年後の2016年2月~3月にかけて、明治安田生命がスタンコープ(オレゴン州)を約6200億円、住友生命がシメトラ(ワシントン州)を約4600億円で買収した。こうした米での大型M&Aを横目に、日本生命は2015年に三井生命を約3000億円で傘下に収めた。日本生命自身、豪でのMLC買収に見られるように海外事業強化にかじを切っており、米国での出方が注目の的だ。

第一生命HDは先行して進出した米市場でも二の矢、三の矢を放っている。