豪では「高級ビール」ブランドの確立を狙う

2009年にキャドバリーグループが所有する豪飲料事業を758億円で買収し、M&Aでオセアニアへ「再上陸」した。翌2010年には豪ピー・アンド・エヌ・ビバレッジズ・オーストラリアの全株式を272億円で買収している。

2011年に入るとTOB(公開買付け)で英キャドバリーグループからSchweppes Holdings Ptyほか2社の豪飲料事業を87億円で、Independent Liquorグループの持株会社Flavoured Beverages Group Holdings Limitedの全株式を976億円で、ピー・アンド・エヌ・ビバレッジズ・オーストラリアの全株式を149億円で、次々と買収した。わずか3年間で2200億円をオセアニアに投資したのである。

そこに今回のCUB買収である。取得金額も1兆円を超え、これまでのオセアニア投資とは一線を画す。果たしてこんな超大型買収に勝算はあるのか?アサヒの勝算はオセアニアでのブランド戦略にある。自社製品を現地における「高級ブランド」と位置づけ、現地生産も始めている。

こうした戦略はアサヒだけではない。ファーストリテイリング<9983>のユニクロや良品計画<7453>のMUJI(日本では無印良品)が国内では大衆商品ブランドなのに対して、海外ではより上級のブランドとして展開しているのと同様だ。米GAPも米国ではユニクロ同様の大衆衣料ブランドだが、日本では東京・銀座に旗艦店を開設するなど、より上級のブランドとアピールしている。

発泡酒など低価格商品の台頭で国内事業の収益は伸び悩んでいる(同社ホームページより)

確かに現地で付加価値の高い「高級ビール」として受け入れられれば、販売量の減少だけでなく量販店などでの安売り競争や、今や売上高の4割を占める「第3のビール」と呼ばれる低価格の発泡酒人気で利幅が下がっている国内市場の「穴埋め」を期待できるだろう。アサヒも高級ビールは低価格商品に比べて景気悪化の影響を受けにくく、安定した収益源になると期待している。