帝人<3401>の前身は、1915年(大正4年)11月に創業者の秦逸三氏と久村清太氏が山形県米沢市で立ち上げた「東工業米沢人造絹糸製造所」。1918年6月に、東工業から「帝国人造絹絲」として独立した。

M&Aで「脱・繊維」を目指す

帝人初の大型生産拠点となった岩国工場(同社ホームページより)

帝人が巨大企業として飛躍するきっかけとなったのが、1927年2月の岩国工場(山口県岩国市、現・岩国事業所)開設。同工場でレーヨン長繊維の製造を始め、大手化学繊維メーカーとして発展していく。

1970年代になると、日本の繊維産業は衰退を始める。帝人も医薬品やPET樹脂分野へ展開し、「脱・繊維」に取り組む。バブル崩壊を経て2003年4月に持株会社制へ移行すると、M&Aへ本格的に舵を切った。

その第一弾となったのが、2004年8月の東邦テナックスと蘭アコーディスが米国で展開していたアクリル繊維を使うPAN系炭素繊維事業の買収だ。

帝人は炭素繊維の将来性に目をつけ、1999年9月に東邦テナックスの前身である東邦レーヨンへ資本参加していた。炭素繊維は航空機で利用が本格化し、価格の低下により自転車やゴルフクラブ、釣り竿などの一般消費者向け製品の素材としても使われるようになっていた。

さらに自動車の燃費競争が激しくなると、自動車メーカーは軽くて強度の高い炭素繊維製の部品採用に本腰を入れ始めた。帝人は自動車産業への本格参入を目指して、炭素繊維事業をM&Aで強化することにしたのだ。