中堅印刷業の廣済堂<7868>が創業70周年の今年、乾坤一擲の“大勝負”に出る。米投資ファンドのベインキャピタルと組んでMBO(経営陣による買収)を行い、株式の非公開化に踏み切る。

印刷を中核に、出版、人材サービス、葬祭など多方面の事業を展開するが、いずれも市場環境の急速な変化に伴い、抜本的な対応を迫られており、有力ファンドの傘下で新たなビジネスモデルを構築するのが狙いだ。持続的成長への道筋をつけたうえで、数年後に再上場を狙うとみられる。

出版、人材、葬祭、エコビジネス…異なる業態に参入

正月気分も抜けた1月17日、ベインキャピタルは廣済堂に対して完全子会社化を目的とするTOB株式公開買い付け)を実施することを発表した。廣済堂の土井常由社長ら経営陣の要請に基づくMBOの一環として行う。

廣済堂は1949年に櫻井謄写堂として創業し、今年70周年の節目。これを狙いすましたかのように繰り出したのがMBO。仕掛け人でもある土井氏は昨年6月に社長に就任した。三井物産出身の商社マンで、2015年に廣済堂に転じて経営企画部長などを務めてきた。

廣済堂は商業印刷を主体とし、業界では中堅クラスに位置する。2019年3月期は売上高1.5%増の370億円、営業利益14.6%増の25億円を見込む。

グループ会社・廣済堂出版の新書

1970年には日本初のコンピューター文字組版システムを導入するなど先進的な取り組みで知られる。最大の特色はミニ・コングロマリット(複合企業)としての顔。印刷事業をコアとしながら、出版や人材サービス、葬祭、エコビジネス、アート、ゴルフ場など複数の異なる業態に参入している。

基幹事業の印刷事業は市場環境の激変に直面して久しい。活字離れや紙媒体から電子媒体への移行に伴う需要減少、競争激化による受注採算の悪化が続き、国内印刷市場は20年間で約4割縮小している。

事業構造改革へ「非公開化」を決断

こうした中、コア事業の競争力強化をはじめ、事業構造改革をスピーディーに実行していくためには短期的に利益水準の悪化につながる可能性があることから、株式の非公開化が得策と判断した。財務面では有利子負債(借入金・社債)が約270億円と売上高の7割相当に達し、圧縮が待ったなしだ。

TOBの買い付け主体はベインキャピタル傘下のBCJ-34(東京)。買付価格は1株610円で、TOB公表前日の終値に43.87%のプレミアムを加えた。買付予定数は2491万3439株で、買付総額は152億円。買付期間は2019年1月18日~3月1日。成立すれば、廣済堂は上場(東証1部)廃止となる。

ベインキャピタルは世界的な投資ファンド。2017年、経営再建中の東芝が半導体メモリー事業を2兆円で売却する受け皿の日米韓連合で主軸(東芝メモリに約2120億円を拠出)を務めたことでも知られる。

〇業績の推移(単位は億円)

17/3期18/3期19/3期予想
売上高348 364 370
・情報266 277
・葬祭 82  86 ー 
・その他  8   6 ー 
営業利益  25  21  25

※情報部門は印刷、出版、人材、ライフスタイルデザイン事業で構成