農薬メーカーのOATアグリオ<4979>が業績を着実に伸ばしている。2010年に大塚化学からMBO(経営陣による買収)の形で分離・独立し、14年に株式上場を果たした。製品開発力の強化や海外展開に積極的に取り組み、この間、売上高は年平均8%で拡大し、営業利益率も2ケタをキープする。

11月には売上高の半分を超える78億円を投じて、収穫後の切り花などを長持ちさせる鮮度保持剤の世界的メーカー、クリザール(オランダ)の買収を発表。大型M&Aでも農薬業界の注目を一躍集める存在になった。

大塚化学のアグリ部門が分離独立、MBOから4年で上場

OATアグリオの前身は、大塚ホールディングス(HD)<4578>傘下の大塚化学の農薬・肥料部門であるアグリテクノ事業部。大塚化学は1952年に徳島工場(現鳴門工場)で農薬の製造を開始し、1963年に肥料に進出した。除草剤、殺虫剤、殺菌剤、各種肥料などを取り扱い、順調に業容を拡大していた。

今は大塚HDグループ内の別の会社が取り扱っているが、大塚化学はかつて炭酸栄養ドリンク「オロナミンC」(1965年発売)、レトルトカレーの草分け「ボンカレー」(1968年発売)を世に送り出したことでも知られる。

転機が訪れたのは2010年。大塚HDグループにおける事業ポートフォリオ見直しの中で、農薬・肥料部門はノンコア(非中核)事業と仕分けされたのだ。この時、MBOファンドの支援を得て、当時、大塚化学副社長だった森明平氏(現OATアグリオ社長)ら経営幹部がアグリテクノ事業部を継承し設立したのが「大塚アグリテクノ」で、初代社長に森氏が就いた。

2014年に、現在のOATアグリオに社名変更し、東証2部に上場(翌15年、東証1部に指定替え)した。MBOを支援したのは、みずほキャピタルパートナーズが運営するファンドのエムシーピースリー投資事業有限責任組合で、筆頭株主として上場前まで50%近い株式を所有していた。M&Aファンドの関与がなくなった2016年以降、特定の大株主は存在せず、経営のフリーハンドを得ている。

沿革
2010大塚化学アグリテクノ事業部がMBOで分離独立し「大塚アグリテクノ」として発足
 〃旭化学工業(奈良県斑鳩町)を子会社化
2011独バイエルから水稲除草剤原体2剤を取得
2013インドに合弁研究所OAT&IIL India Laboratories Private Limutedを設立
 〃パキスタンに販売会社OAT Pakistan Private Limutedを設立
20140ATアグリオに社名変更
〃 東証2部に上場
〃 ビーアンドエル(東京都千代田区)からステビア資材事業を取得
2015東証1部に上場
2016インドネシアに合弁会社PT.OAT MITOKU AGRIOを設立
中国に肥料合弁会社の潤禾(舟山)植物科技有限公司を設立
〃 OATアグリフロンティア(茨城県牛久市)を設立
2018(7月)スペインの農業資材開発・製造のLIDAなど2社を子会社化
 〃(12月)オランダの鮮度保持剤メーカーのクリザールを子会社化