鹿島<1812>が、クロスボーダー(海外)M&Aを加速している。現在は好調とはいえ人口減少や経済規模の縮小などで国内建設市場の長期的な拡大は見込めず、今後も成長が期待できる海外で活路をひらくためだ。しかし、鹿島には海外事業で苦い経験がある。その古傷を乗り越えるため、鹿島は新たな海外M&A戦略の展開に乗り出した。建設業界の名門企業が取り組んでいる海外M&Aの針路を探る。

ポーランド最大手の学生寮運営会社を買収

2019年5月、鹿島はヨーロッパ法人のカジマ・ヨーロッパ社を通じて、ポーランドの学生寮開発・運営最大手Student Depot(ステューデントデポ)社の株式90%を、米オークツリー・キャピタル・マネジメントから取得し、子会社化したと発表した。鹿島の欧州企業買収は初めてだ。なぜ鹿島が東欧の学生寮ビジネスに目をつけたのか。

ポーランドは物価が安く、治安も良いことに加えて、大学における英語プログラムが充実していることから、留学生を含めて学生数が増加を続けている。半面、学生寮の多くは老朽化し、部屋数・質ともに不足しているのが現状だ。

そのため、ステューデントデポなどが展開する民間学生寮市場は、今後大きな成長が期待できる。ステューデントデポは現在建設中の2軒を含めて6軒の学生寮を管理運営し、その資産価値は6000万ユーロ(約74億円)を超えるという。

ステューデントデポが建設中のワルシャワ学生寮の完成予想図(同社ニュースリリースより)

鹿島の海外事業がスタートしたのは1960年代のこと。米ロサンゼルスの日本人街「リトル・トーキョー」再開発からスタートした。再開発を推進するためカジマ・インターナショナル(KII)を設立。1970年代には欧州や東南アジアにも現地法人を設立し、同社の海外事業は順調に拡大した。