年末に飛び込んできたのがホームセンター最大手のカインズによる東急ハンズ(東京都新宿区)の買収発表だ。
東急ハンズといえば、DIY(日曜大工)の枠を超えて新たなライフスタイルを提案する業態を確立したことで知られる生活雑貨大手で、ブランドの認知度も高い。カインズは地方での大型店舗を主力とし、都市部を中心とする東急ハンズとの補完性は高いと期待する。ただ、買収金額は明らかにしていない。
東急ハンズは1976年に創業。現在、国内外86店舗を展開する。近年、ネット販売の台頭で苦戦していたところに新型コロナ禍が重なり、2年連続の最終赤字に陥るなど厳しい状況にあった。10月には旗艦店の池袋店(東京都豊島区)を閉店した。親会社の東急不動産ホールディングスはグループ内の経営資源による事業再構築では限界があると判断、東急ハンズの全株式をカインズに2022年3月末に譲渡する。
前年に続いて「争奪戦」が起きた。関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下のスーパー2社(イズミヤ、阪急オアシス)との経営統合に対して、首都圏を地盤とするディスカウントスーパーのオーケー(横浜市)が待ったかけたのだ。しかも、その決着は最高裁の判断に委ねられることになった。
統合手続きの差し止めの仮処分を求めたオーケーの申し立ては最終的に退けられたが、司法の場では関西スーパーが10月末に開いた臨時株主総会で統合案を僅差で可決した際の「白票」の扱いが争点となった。オーケーは関西スーパーの8%近い株式を持つ大株主で、TOB(株式公開買い付け)による子会社化の意向を示していた。
H20傘下のスーパー2社と関西スーパーの統合は予定より2週間遅れて12月半ばに実現し、売上高4000億円規模と関西最大のスーパー連合が誕生する運びとなった。一方、オーケーは関西進出を悲願とする。今後、自力進出かM&Aか、次の一手が注目される。
前年(2020年)はホームセンター中堅の島忠を巡るTOB合戦が思い出される。業界大手のDCMホールディングスが先行したが、後から家具業界大手のニトリホールディングスが名乗りを上げた。争奪戦を制したのはニトリ。島忠はDCMのTOBへの賛同を撤回し、ニトリの提案を受け入れたのだ。
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