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競争過熱の全固体電池、EV用は「期待はずれ」に終わるかも
EV用電池として本命視されている全固体電池。日本ではトヨタが2020年代前半の実用化を目指し、独VWは電池ベンチャーの米クアンタムスケープと共同開発中で2024年をめどに量産に入る予定だ。「全固体電池の時代」が、まもなくやって来るのだろうか?
ホンダ<7267>が燃料電池車(FCV)「クラリティ フューエル セル」の生産を年内に停止することが明らかになった。米ゼネラル・モーターズ(GM)とのFCV共同開発は継続するが、商用車向けが中心になる。FCV乗用車の開発からは、事実上撤退することになりそうだ。
ホンダの撤退で、FCVの量産メーカーは「MIRAI(ミライ)」を生産するトヨタ自動車<7203>と「NEXO(ネクソ)」を手がける韓国・現代自動車の2社だけとなる。ホンダが撤退する理由は、販売不振。「クラリティ フューエル セル」は2016年3月に発売し、現在までの5年間で世界販売台数は約1900台に留まっている。
トヨタ、現代自ともに販売は振るわず、乗用車でのFCV参入を目指すメーカーは登場しそうにない。決められたターミナル間を移動するバス・トラックなどの商用車を除き、FCVの普及は絶望的な状況だ。
FCVの販売が伸び悩んでいるのは、700万円台という車両価格もさることながら、水素ステーションの少なさがある。次世代自動車振興センターによると、2021年6月現在で全国に147カ所しかない。ガソリンスタンドの2万9637カ所(2019年3月末現在、資源エネルギー庁調べ)、家庭用を除くEV充電スタンドの2万9233台(2020年度、ゼンリン調べ)に比べると、はるかに少ない。
商用車でFCV開発が継続しているのは、数が限られるバス・トラックターミナル内に水素供給設備があれば運行できるからだ。ホンダのFCV撤退で、水素ステーション整備の気運が削がれかねない。FCVの普及にも大きなマイナスだ。
いわゆる「燃費」にも課題が残る。走行1km当たりの走行コストはFCVが7.7円(燃費129km/kg、水素料金1000円/kg)と、EVの3.3円(燃費6km/kWh、電力料金20円/kWh)やハイブリッド車の4.3円(燃費35.4km/L、ガソリン価格154円/L)に比べると割高なのもネックだ。
文:M&A Online編集部
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EV用電池として本命視されている全固体電池。日本ではトヨタが2020年代前半の実用化を目指し、独VWは電池ベンチャーの米クアンタムスケープと共同開発中で2024年をめどに量産に入る予定だ。「全固体電池の時代」が、まもなくやって来るのだろうか?