5番目のコロナ治療薬「ソトロビマブ」ってどんな薬

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5番目の新型コロナウイルス感染症治療薬が認められた。厚生労働省は、英国のグラクソ・スミスクライン(GSK)が米国のバイオ企業と共同開発した新型コロナウイルス感染症治療薬「ソトロビマブ」の国内での製造販売を特例承認した。

対象は酸素療法を必要としない軽症や中等症の入院患者で、田村憲久厚生労働相は「安全性が確認されれば、往診でも使う」としており、近いうちに自宅療養者でも治療を受けることができるようになる可能性が高い。「ソトロビマブ」とはどのような治療薬なのか。

変異株にも高い有効性が

「ソトロビマブ」は、新型コロナウイルスがヒトの細胞に取りつく際に必要となるスパイクたんぱく質に結合する、たんぱく質から成っており、スパイクたんぱく質の機能を奪うことでウイルスの増殖を防ぐ。

同様の仕組みを持ち、すでに治療薬として承認を得ている中外製薬<4519>の治療薬が「カシリビマブ」「イムデビマブ」という2種類の抗体を用いるのに対し「ソトロビマブ」は遺伝子を組み替えて製造したモノクローナル抗体と呼ばれる1種類の抗体だけを用いる。

海外での臨床試験では、投与29日目までに入院や死亡のリスクが79%低減しており、入院や死亡のリスクが70%ほど低下する中外製薬の治療薬がよりも、やや高い数字となっている。

また「ソトロビマブ」は、スパイクたんぱく質の変異の少ない部分に結合するため変異株に対しても有効性が高く、デルタ株、ラムダ株などの変異株に対して活性を維持できるという。患者への投与は1回で、点滴で行う。

GSKは今回の「ソトロビマブ」を「迅速に供給できるよう日本政府と協働する」とするとともに「ソトロビマブ」のほかにも新型コロナウイルス感染症向けの複数のワクチンと治療薬の開発に取り組んでいるとしている。

軽症や中等症向けが2種に

今回の「ソトロビマブ」と中外製薬の治療薬のほかに、これまでに国内で承認された新型コロナウイルス感染症治療薬は、エボラ出血熱治療薬として開発された「レムデシビル」、感染症や肺炎などの治療薬として用いられているステロイド薬の「デキサメタゾン」、関節リウマチ薬として承認を取得している「バリシチニブ」がある。

これら3種の治療薬は重症者向けで、軽症や中等症向けは今回の「ソトロビマブ」と中外製薬の治療薬の2種となる。

このほかに、塩野義製薬<4507>が新型コロナウイルス感染症の飲み薬の臨床試験を行っているほか、富士フイルム富山化学(東京都中央区)も、インフルエンザ治療薬としての承認を得ている「アビガン」の最終の臨床試験を行っている。

【製造販売の特例承認を得た新型コロナウイルス感染症治療薬】

名称 種類 投与法 製造販売企業
レムデシビル エボラ出血熱治療薬 点滴 ギリアド・サイエンシズ
デキサメタゾン ステロイド薬 経口など 日医工など
バリシチニブ 関節リウマチ薬 経口 日本イーライリリー
カシリビマブ、イムデビマブ 中和抗体薬 点滴 中外製薬
ソトロビマブ 中和抗体薬 点滴 グラクソ・スミスクライン

文:M&A Online編集部

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